
先日、鳥取県は三朝の山奥にある〝珍宝神さん〟にお参りをしたことは、この連載でも書かせていただきました。おかげさまで、以来ワタクシの〝夜の独り遊び〟は好調でございまして、こうなると竿を穴に挿し込みたくもなるものです。
とはいえ、ワーキングプアの冴えないオッサンですから、金もツテもございません。そこで考えた末に、「そうだ! 自身の竿じゃなくても釣り竿を穴に挿し込みまくれば、少しは欲求の解消になるのではなかろうか?」と思い立ち、栃木県はさくら市を流れる鬼怒川へ足を向けることにしました。

東北本線を乗り継いで氏家駅で降り、爽やかな秋の晴天の下を徒歩にて鬼怒川を目指します。道中、草川用水という雰囲気のよさげな里川を通り、「ここもオイカワなんかが面白そうだな」などと、ついちょっかいを出しそうになりますが、「いかんいかん、今日は穴に挿しまくるカジカ釣りをヤリに来たんだから」と鬼怒川を目指します。

しばらく歩くと雑木林の端で、栗拾いに興じる地元の方々が数名。秋らしい風景に、「クリもいいねぇ…」などと思いつつ鬼怒川のほとりに到着。10月となり鮎釣りは終盤、渓流釣りは終了ということもあって広い河原に釣り人の姿はありません。ちょっと肌寒くはありますが、ズボンを脱いで竿と仕掛けを準備。川に立ち込んでカジカを狙っていくことにしましょう。
掛かってからの一連の流れは独特
浮き石など、水通しのよい石の裏側や側面に卵を産み付けるカジカは、石と石の隙間がすみか。大きめの石と石の上に、さらに石が乗ることによってできた穴の中に仕掛けを入れての釣りとなります。穴の深さ自体は、せいぜい数十センチですから、仕掛けの長さは15センチほど。狭い穴のとば口にスポッと吸い込まれるようにオモリとエサが入り、穴の奥からクンクンッと伝わる手応え。そして、穴からカジカを引きずり出すという一連の流れは、独特の釣趣があります。

早速、カジカが潜んでいそうな穴を探ってみますがアタリはなく、いくつかの穴を探ってはみたもののアタリはありません。もっとも、ちゃんとした釣り人は、ウェーダーを履いて腰まで浸かり、箱メガネで川底を覗きながら探るカジカ釣り。ワタクシの場合は、ちゃんとした釣り人ではないのでパンツ一丁。立ち込めてもせいぜいが膝上までですから、攻められるポイントも限られます。まあ、今回は〝穴に竿を挿し込む快感〟を味わうのが目的ですから焦らずに、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、とばかりに穴という穴を探り回ることにします。

入り口が広めのガバガバな穴よりも、入り口が狭くて奥が深い穴が理想的。そんな中、いかにもよさげな穴を見つけ、竿を差し込んでみると、わりと深めです。竿をズッポリと挿し込んで待つと…ビクッ! と反応がありました。少し時間をおいて、しっかりと食い込ませた頃合いでゆっくり竿を抜いてくると、クンクンッと手応えがあります。ピクピクしてるぅ〜♡。
食味も釣りもクセになりそう
そのままゆっくりと竿を抜いてくるとクンクンッから、より激しめなブルルンッになってハリ掛かり。カジカはポロリがありますから「外れるなよ」と、さらに慎重に竿を抜くと、狭い穴からカリ高のあるカジカの頭がニュッと出ました。この狭い〝とば口〟からカジカをヌルリと引きずり出す瞬間は、たまらない興奮があり、無事に良型の一丁上がりです。
その後も入り口が狭くて奥が深そうな穴を探しては夢中で竿を挿し込み、なんとか7尾のカジカを確保。たとえアタリがなくとも、よさげな穴を見つけて竿を挿し込む際のワクワクや、ましてアタリがあった時のドキドキは極めてエキサイティング。どことなく厳つさのあるカジカは小魚とはいえ、なんとも魅力的なものですな。

持ち帰ったカジカは串に刺して素焼きに。小さめの1尾は焼いてからカジカ酒にして一杯を楽しみます。焼きたてに醤油を垂らして一口食べると、小魚ながらにしっかりと脂が乗っていて、なんとも美味。昔から山の民が夜突きなどでカジカを捕っていたというのが頷けます。そして熱燗に漬けたカジカ酒を啜ると、こちらも深みのあるダシが、ほどよい酸味の淡麗辛口な北冠純米吟醸と相まって旨い!
カジカは魚へんに秋〝鰍〟と書くだけに、これからが本番。今シーズンもう1回くらいどこぞの川で、穴に竿を挿し込みまくりたいなぁ、と食味も釣り味もクセになりそうな魅力を秘めたカジカ釣りでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。
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