社会

第二次朝鮮戦争か!?「三重苦」北朝鮮・金正恩体制が侵攻開始する理由

金正恩 
(画像)Alexander Khitrov / Shutterstock.com

北朝鮮はこれまで「滅亡するくらいなら一か八かで南侵(韓国侵略)」と暴発危機を自ら喧伝してきたが、2021年を迎えて朝鮮半島有事の可能性は急速に高まりつつある。

北朝鮮は現在、未曽有の危機に直面している。国連安全保障理事会による経済制裁に加え、新型コロナ禍、自然災害の三重苦で、昨年の経済成長率は「苦難の行軍」時代を下回った(1995~98年に300万人以上の餓死者が発生)と予想されているのだ。

「国際格付け会社のフィッチ・レーティングスは、北朝鮮の経済成長率をマイナス10%と診断しています。16年の第7回朝鮮労働党大会で掲げた『国家経済発展5カ年戦略』は、折からの三重苦によって絵に描いた餅と化しました」(北朝鮮ウオッチャー)

金正恩朝鮮労働党委員長が陣頭指揮を執ったにもかかわらず、元山カルマ観光リゾートや平壌総合病院は未完成のまま。昨年5月1日に正恩氏の健在をアピールするため、直々にオープニングセレモニーを行った順川肥料工場も、いまだに稼働していない。

それもそのはず、北朝鮮の1人あたりの年間所得は韓国の54分の1程度しかなく、紙よりも薄い。要するに国民は働く場所がなく、たとえあったとしてもタダ働きなのだ。

「北朝鮮は昨年『忠誠の80日戦闘』を敢行しました。これは国民全員が正恩氏への忠誠の証しとして、零下20度近い真冬に、しかも暖房設備のない中、24時間体制で必死に勤労奉仕に励むというもので、いわば全国民に無償の強制労働を課したのです」(同)

「まさに死か強制労働かの社会が現出している…」

国難にあえぐ北朝鮮では、人事異動と粛清が横行している。韓国統一部によると、一昨年末から昨年にかけて党、政府、軍の幹部のうち約80%が交代し、中でも軍団長はほとんどが入れ替えられたという。

「粛清に伴う処刑も急増しており、まさに死か強制労働かの社会が現出している。軍と国民の不満は爆発寸前ですよ」(同)

1月5日、当初の予定より早く、首都・平壌で第8回朝鮮労働党大会が開幕。金委員長は党中央委員会の事業決算報告の中で「国家経済発展5カ年の戦略遂行が昨年終わったが、掲げた目標をほぼすべての部門で大きく下回った」と、経済不振から脱皮できなかったことを率直に認めた。

それにしても、国が疲弊しきっているにもかかわらず、なぜ莫大な費用を要する党大会を開いたのか。