巨人「ポスト原監督」は落合氏だった!? 続投決定までの「密室劇」スッパ抜き!
リーグ4位に沈み、2年連続で優勝を逃した巨人は、原辰徳監督の続投が決まった。しかし、ナベツネさんが最後まで推したのが元中日監督の落合博満氏。スポーツ紙が報じない密室続投劇の顛末をスッパ抜く!!
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巨人の山口寿一オーナーが、東京・大手町の読売新聞東京本社で原辰徳監督の続投を発表した際、8月末に原監督から進退伺を受け取ったことを明らかにした。本誌が入手した情報によれば、当時、読売グループが来季監督の「世論調査」を行い、結果は「続投」と「交代」の声が五分五分――この意味深長な結果が進退伺の背景にある。
「調査の対象は『原監督』および『阿部慎之助、桑田真澄の両コーチ、高橋由伸前監督、落合博満氏、工藤公康氏、松井秀喜氏』の選択と思われたが、実施したのは原監督と落合氏の二者択一だったらしい。ナベツネさん(渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆)は以前から落合氏を推しており、はなから他の候補は俎上に載せられなかったそうだ。1対1でこの数字。他の候補の支持者も多く、実質的には原監督の批判票が支持を大きく上回り、進退伺を出したのはそのため」(日本テレビ関係者)
その後、何度かの話し合いを経て続投が決まったが、来季の組閣には、渡辺主筆の意向が反映されている。当初、提案された続投の条件の1つが「落合氏の入閣」。中日監督時代にリーグ優勝4回、日本一1回の実績を持つ落合氏は監督ポストにはこだわらず、ヘッド格やフロント幹部でも受け入れる心算だったという。
コーチ新体制の目玉は“デーブ”
これは突っぱねたものの、徐々に明らかになりつつあるコーチ編成には落合カラーが色濃く出ている。阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチこそヘッドに昇格するものの、側近の元木大介ヘッド兼オフェンスコーチは内野守備コーチに、桑田真澄投手チーフコーチもファーム総監督に降格。原政権を支えた村田修一一軍打撃兼内野守備コーチや後藤孝志三軍打撃コーチら6人は退任する。一方、新体制の目玉は「デーブ」こと元楽天監督の大久保博元氏と元中日コーチの阿波野秀幸氏の、それぞれ打撃コーチと投手コーチでの起用。そして、原監督との反目も指摘される川相昌弘氏の一軍守備走塁コーチでの入閣だ。
「いろんな見直しは必要。役割が変わる人もいるかもしれないし、新しく加入するコーチもいるだろう」
山口オーナーは、大ナタを振るった理由を説明した。
デーブ、阿波野、川相の3氏に共通しているのが、落合氏の息がかかっているということ。フジテレビ系CS『プロ野球ニュース』の解説を続けつつ都内で飲食店を営むデーブ氏は「球界屈指のコミュニケーション能力の高さ」で知られる。
「人付き合いが不得手な落合氏は、中日監督時代から大久保氏にバッテリーコーチのオファーを出してきましたが、巨人選手時代から原監督を敬愛しているため、丁重に辞退していました。ですが、落合氏との良好な関係は今も続いています」(プロ野球ニュース担当者)
巨人OBでもある阿波野氏は、亜細亜大時代に1年後輩だった与田剛氏が中日監督を務めた3シーズン、投手コーチを務めた。この間、大野雄大を沢村賞投手に育てるなど、投手陣の底上げに貢献。見逃せないのは「落合・森繁和体制」の投手育成手法を断ち切らず、落合遺産を尊重したことだ。
“ポスト原”は落合氏の考え
川相氏は、巨人では数少ない〝アンチ原系〟。2003年、通算512犠打を達成し、エディ・コリンズの持つメジャーリーグ記録を超えたことを機に原監督が口頭で一軍守備・走塁コーチを要請し、円満な形で現役引退が決まっていた。しかし、引退試合のわずか10日後、その契約締結前に原監督が電撃辞任。監督が堀内恒夫氏に代わり、すべてが宙に浮いた経緯がある。結局、中日の入団テストを受け、落合監督に拾われる形で現役を続行したが、引退セレモニーの後だけにきまりが悪い。現役引退後も中日にとどまり、コーチ、二軍監督で落合イズムを吸収したのち、2011年に巨人に戻り一軍ヘッドなどを歴任。
15年オフの第2次原政権の後継監督選考では候補の一角に上がったが、打撃コーチ兼任だった高橋由伸が現役を引退して監督に就任。川相氏は三軍、二軍監督として若手育成に邁進し、イースタン・リーグ4連覇を導いた。しかし、19年の原第3次政権発足で退団し、野に下っていた。
渡邉主筆は、「ポスト原は落合氏」と考え、腹心の川相氏を昨オフからファーム総監督として巨人に戻している。今回の一軍ベンチ返り咲きは、和戦いずれにしても新政権のキーパーソンは原監督と因縁が深いこの男と見込んだからこそだ。
スポーツ紙デスクが、今後を次のように占う。
「これまで落合色が強い川相氏は非主流派だったが、ナベツネさんの支持に加えて一本独鈷の中畑清氏を『オヤジ』と慕うデーブ氏が入閣し、形勢が逆転。デーブ氏と家族ぐるみの付き合いをしている阿部も、こちらに重心を移しつつある。来季も優勝を逃せば、本尊の落合氏、またはカシラ的存在の川相氏の監督就任の可能性は十分にある」(スポーツ紙デスク)
辛うじて首の皮一枚で掴んだ続投――。
「慢心があったが、このままで終わってたまるか。新しい情熱というか、血液の中に燃えたぎるようなものが出てきたな」
原監督はそう意気込むが、取り巻く環境は厳しい。
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