『実家じまい終わらせました!大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』祥伝社
『実家じまい終わらせました!大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』祥伝社

『実家じまい終わらせました!』著者:松本明子~話題の1冊☆著者インタビュー

松本明子(まつもと・あきこ) 1966年生まれ。香川県出身。82年に日本テレビ系『スター誕生!』チャンピオン大会に合格したことがきっかけで歌手デビュー。バラエティータレントとして活躍する傍ら、自身のしくじり経験を基に、実家じまいの重要性をメディアで発信している。
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――高松市の空き家となった実家を25年間も維持したそうですね。


松本 私が6歳の時に会社員だった父が建てたマイホーム。約90坪の敷地に、ひのき造り5DKの平家建てで、当時約3000万円くらいだったのではと思います。


私は歌手になるのが夢で15歳で上京し、オーディションに何度もトライして17歳でデビューしました。それから10年、27歳の時にバラドルとして人気になり、「これでやっと親孝行できる!」と両親を東京に呼び寄せて同居を始めました。


その後も空き家となった実家を手放さず、25年の長きにわたって維持し続けたのは、父が亡くなる前に「明子、実家を頼む」と言われ、遺言のような言葉が肩にずっしり重くのしかかっていたからです。


その後、私が41歳の時に母が他界しました。実家は私が相続したものの、両親がやっとの思いで建てた実家の処分には、簡単には踏み切れませんでした。

物を捨てられない性分

――売却時の売値は600万円だったとか。

松本 25年間の維持費はリフォーム代や税金などを合わせて1800万円かかりました。しかし査定をしてもらったら「築年数が古いから建物の価値はゼロ。土地の価値だけで200万円」と言われてしまいました。結局、地元の不動産屋さんに相談して、香川県が運営する『空き家バンク』に希望額600万円で登録し、買い手が付くのを待ちました。幸い3カ月ほどで購入の問い合わせが入りました。奇跡のようなご縁で、香川県で生まれ育ったご夫婦がたまたま私の実家付近の空き家を探していたそうで、即決してくださいました。高額の修繕費がかかりましたが、リフォームが無駄にならなくて本当に良かったです。


――実家じまいで一番大変だったことは何ですか?


松本 両親が残した家財、生活道具、遺品の整理は大変でしたね。私も両親も物を捨てられない性分。業者さんにまとめて処分してもらう方法もありましたが、両親が残した思い出の品すべてに目を通したかった。父の本棚には約2000冊の本がびっしり。古本屋に持って行きましたが、二束三文でしたね。エッチな雑誌はみうらじゅんさんに引き取っていただきました(笑)。


――これから実家じまいを予定している読者にメッセージをお願いします。


松本 実家じまいは後回しにしないようにしてください。また、私のような大赤字を出さないためにも、ご家族でなるべく早くから道筋を立てておくことをお勧めします。


私も息子の代には同じ思いをさせてはいけないなと思っています


(聞き手/程原ケン)