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『アジ』鳥取県/賀露港産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

鳥取に来ております(理由は前回参照)。鳥取といえば鳥取砂丘。各地を釣り歩くなかで観光地に立ち寄るというのもまた楽しみのうちでして、まして全国的に知られた鳥取砂丘ですから、ちょっと行ってみたくもなるものです。

ついでに、砂丘海岸でチョイとキスの投げ釣りでも楽しめれば一石二鳥。秋はサーフ(砂浜)から狙うキスの最盛期ですし、砂丘海岸はキスの数釣りの実績場でもありますから、「釣れたも同然」と砂丘に向けて車を走らせます。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

到着すると周辺には昭和ムード満点のドライブインが軒を連ね、なんともよい雰囲気。鳥取砂丘ビジターセンターを通り過ぎ、海岸に近い場所に車を止めて海に出てみると…北東の風が吹き荒れ、海には白波が立っております。とはいえ、せっかく来たのですから、とりあえず海岸に下りてみましょう。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

砂浜を砂丘の下あたりまで歩いてから投げ竿を取り出し、荒れた海に数投。エサが取られないどころか荒れる波に仕掛けは揉まれて絡み、全く釣れる気がしません。ますます強く吹き荒れる風に砂が舞い、荷物も体も砂だらけです。

クサフグフィーバー!?

さてどうしたものか…。

こんな時は、シケの影響が少ない港内に逃げるのが得策。再びエッチラオッチラと砂浜を歩いて戻り、砂丘から車で15分ほどの賀露港に移動です。着いてみると、さすがは周辺では随一の大型港。若干の波はありますが、なんとか釣りにはなりそうです。少しでも風裏となる緑地公園の岸壁に釣り座を構え、再び投げ竿にキス仕掛けを結び、エサのアオイソメをハリに付けて港内へ投げ込みます。と、ほどなくアタリが出ました。「賀露港もチョイ投げキスの実績場だし、こりゃ数釣りが楽しめそう♪」と巻き上げた仕掛けに付いていたのは…まん丸く膨らんだクサフグでした。その後も投げる度に掛かってくるのはクサフグ。荒れ模様で濁りが生じたせいかクサフグの活性が高いようです。

クサフグ
クサフグ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さてどうしたものか…。

こんな時は、ターゲットと釣り方を変えてしまうのが得策。ということで、手堅く釣果が望める小アジを狙うべく、近くの釣具店にてコマセ(寄せ餌)とサビキ仕掛けを仕込んでから、再び賀露港の緑地公園へ。平日とあってか釣り人の姿はなく、クサフグ以外の魚っ気もありませんが、寄せればなんとかなるでしょう(多分)。

安物の磯竿に結んだサビキ仕掛けを垂らして、ひたすら寄せ餌を撒くことしばし。最初のうちは全くアタリもありませんでしたが、絶え間なく餌を撒くうちに、プルルンッと竿先が揺れました。「やっとアジが回ってきたか♪」と巻き上げた仕掛けに付いていたのは、まん丸く膨らんだクサフグ…。「またお前か」。ここからはコレが寄ってしまったのか、クサフグの入れ食いです。

さてどうしたものか…。

“信じる心”で小アジヒット

こんな時こそ、〝信じる心〟が大切です。「これだけ寄せているのだから、フグの下には間違いなくアジが寄っているハズ」と、寄せ餌と仕掛けが〝より同調するように〟サビキ仕掛けの上にカゴを取り付けます。カゴに寄せ餌を詰め、ドボンと投入。底についたあたりで大きく竿を煽って、カゴの寄せ餌を放出してから竿を止めて待ちます。すると…キュキューンッ! と、クサフグとは明らかに違った勢いで竿先が絞り込まれました。巻き上げてくると小気味よい手応えとともに水面下でキラリと魚影が走り、小アジが一丁上がり。やはり寄ってたのね♡

アジ
アジ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

ここからは、カゴに寄せ餌を詰める→投入→竿を煽って待つ→キュキューンでアジ、という一連の流れで小アジの入れ食いをひとしきり堪能。こうなると余裕が出るもので、後ろで物欲しそうに待つ2匹の猫にもお裾分けをあげながら、晩酌の肴には十分な量を確保。ぼちぼち日も落ちてきたこともあり、次なる作戦に移行するべく納竿することにします。

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、小アジはちょっと手間ですが頭を落としてから開きにして中骨を除去。こうすることによって食感もよくなり、パカパカ食えます。開いた小アジは、砂糖、醤油、みりんを適当に混ぜ合わせた汁に漬けてから軽く水分を飛ばして、あとは焼くだけ。シンプルですがこれが抜群に旨く、入れ食いゆえに結構なボリュームがあったハズなのに気付けば完食。〝鳥取産二十世紀梨チューハイ〟のほどよい甘さも飲みやすく、ほどなくよい気分に。

当初の狙いからは、場所も釣り方も対象魚も二転三転した今回。でも、ままならない状況を考えながら足掻くのもまた釣りの楽しさなのかもしれませんな。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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