(画像)wakamatsu.h/Shutterstock
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楽天がタイガース化へ!? 三木谷オーナーが画策する矢野監督&掛布氏の強奪

2022年シーズンをパ・リーグの4位で終えた東北楽天ゴールデンイーグルスが、今季で退任する阪神の矢野燿大監督と行き場を失った掛布雅之HLTの強奪に乗り出した。野村克也、星野仙一監督に続く三木谷浩史オーナー十八番の「楽天タイガース」化計画、その全貌を暴く。


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15年ぶりに岡田彰布氏が阪神監督に再登板することが確実となり、これで宙に浮いたのが、球団の特別職「HANSHIN LGEND TELLER(ハンシン・レジェンド・テラー)の掛布雅之氏だ。


新政権のヘッドコーチには平田勝男現二軍監督が、二軍監督には和田豊球団本部付テクニカルアドバイザー。打撃コーチには岡田氏の教え子である今岡真訪氏と、岡田氏の早大時代の後輩にあたる水口栄二氏(元オリックスコーチ)。将来の監督候補の藤川球児、鳥谷敬両氏の入閣も煮詰まりつつある。


「阪神電鉄に支えられ、これまで主流派だった『掛布&矢野』陣営は、親会社の阪急・阪神ホールディングス(HD)が主導する岡田氏に内堀さえも埋められ、壊滅状態です。これで『ミスター・タイガース』掛布氏の阪神監督就任は、将来的にも事実上、消滅しました」(在阪記者)

石井監督からも申し出があった!?

この「分断」に乗じて虎ファン強奪に乗り出したのが、楽天の三木谷浩史オーナーだ。楽天関係者によれば、掛布氏に「相談役」に相当するポストを用意し、矢野燿大監督を「楽天監督」で招く計画が進行しているという。

今季、監督問題で揺れたのは、楽天・石井一久GM兼監督も同じ。監督1年目の昨季は3位に滑り込んだものの、クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージでロッテに敗退。今季は4位で、CS進出さえ叶わなかった。


それより何より、問題は石井監督がGM時代の2019年に3位につけた平石洋介監督、20年に4位に終わった三木肇監督を続けて解任したことだ。これで自身を続投させたら「自分に甘い」のそしりは免れない。そこで三木谷オーナーに「チーム低迷の責任を取り、今季限りで監督を退き、GMに専念したい」と申し出たという。


「結局、慰留されて続投が決まりましたが、その際に石井監督が今季で阪神との契約が切れる矢野氏の招聘を進言したようです。チームと時期は異なるが、ともに野村克也氏の教え子。ID重視の方向性が一致しており、引き継ぎ易いと。矢野氏は東北福祉大出身で東北と馴染みが深く、成績も4年間すべてAクラス。その方向で進んでいたのですが…」(楽天球団関係者)


実はこの「矢野監督招請計画」には、周到な伏線が巡らされていた。キャンプイン前日に沖縄・恩納村の宿舎であった矢野監督の「退任発言」だ。ズルズルやるより、今年1年に勝負を賭けようという思いと釈明していたが、実は違った。


トラ番記者によれば、「あの時点で矢野監督のもとには楽天陣営から来季監督の打診に近いものがあり、野球協約に抵触しないように細心の注意を払いながら、ソフトランディングの準備を始めていた」という。

仙台でも“虎”ファンは応援するハズ

球界には、2001年オフに中日監督を退任した星野仙一氏が間髪入れず阪神監督に横滑りしたケースはあるが、辞めたばかりの監督が翌シーズンに敵チームの監督に就くことは信義にもとるとされる。結果として、球団機密や弱点を持ち出す形になるからだ。

「そこで矢野監督は、あえてキャンプイン前に〝今季でタイガースを去る意思〟を表明し、ファン及び球界の理解を得ようと。しかし、その努力も終盤の驚異的な粘り腰で、タイガースが日本シリーズ進出への望みをつないだことで断念せざるを得なかった。言葉を代えれば、矢野氏が楽天監督を先延ばししたことで、石井監督の続投が決まったのです」(前出・記者)


合わせて浮上したのが、掛布氏の楽天陣営入りだ。楽天がプロ野球へ新規参入を表明した04年、三木谷氏が最初に監督要請したのが実は掛布氏だ。結果的に条件などが釣り合わず、代わりに阪神OBの田尾安志氏が初代監督に就いたものの、今でも三木谷氏と掛布氏との間にはホットラインが健在で、良好な関係が続いているという。


「楽天球団は掛布氏に、矢野氏招聘の土台固めを期待しているが、三木谷オーナーはその前にワンポイントで〝掛布監督誕生〟も視野に入れている。野村、星野監督に続く、十八番の〝楽天タイガース化〟計画です。引退から30年以上、いまだ一軍監督未経験の掛布氏には、判官贔屓が多い。たとえ仙台でも、全国の虎ファンが応援するだろう。そこが狙い」(楽天グループ首脳)


石井GM兼監督の真価が問われるのは、これからだ。ともにFA権を取得した田中将大、浅村栄斗との残留交渉をどうするか。そして、森友哉、外崎修汰(西武)、西勇輝、岩崎優(阪神)、西川龍馬(広島)、近藤健介(日本ハム)など、FA権を行使する可能性のある大物選手をどう口説くか…。


一方で、矢野監督誕生とともに阪神に駆けつけた中日OBの井上一樹ヘッドコーチ、久慈照嘉、筒井壮、新井良太コーチなどの雇用問題も宿題として残っている。楽天が「掛布相談役」に期待するのは、矢野新政権への環境作りと、阪神・矢野政権の残務処理――。


そしてオフの「番外戦争」を有利に運ぶ深謀遠慮が、そこには透けている。