横綱、大関がゼロになる――。幕内最年長、37歳10カ月の玉鷲の優勝で秋場所を終えたばかりの大相撲界が、こんな危機に直面している。これは笑いごとではない。現実の話だ。
秋場所の横綱、大関陣は散々だった。1人横綱の照ノ富士は、両膝の故障で10日目から休場。大関の正代、御嶽海は負け越し。それもそろって4勝11敗の大負け越し。御嶽海は大関陥落、正代も5度目のカド番が決定した。
ただ1人、勝ち越した貴景勝も、優勝争いにはまったく絡めず、千秋楽にまるでやる気がない正代を破って10勝するのがやっと。「給料泥棒」という罵声を浴びせられてもおかしくない惨状だった。
千秋楽翌日の9月26日に両国国技館内で開かれた横綱審議委員会でも、こんな不甲斐ない大関陣が取り上げられ、「(陥落する大関が次の場所、関脇にとどまるというのは)制度的にこのままでいいのか。あまりに負け越した人は(関脇の下の)小結まで落とすというのはどうか」という意見まで飛び出した。
来場所の横綱不在は必至か…
確かに、正代、御嶽海は負けっぷりもひどすぎた。こんな状態では来場所、カド番の正代も御嶽海の後を追って大関から落ちる可能性は大。御嶽海も恐らく大関には戻って来られまい。
「貴景勝にしても、相変わらず首の状態が悪そうだ。かつての相手を土俵下まで吹っ飛ばすような当たりはすっかり影を潜め、12日目の北勝富士戦では立ち合いに変化するなど、気力も萎えてきている。いつ、正代や御嶽海と同じ状態に陥っても不思議ではない」(大相撲担当記者)
それ以上に心配なのは、照ノ富士だ。横審の高村正彦委員長(元自民党副総裁)は「次の場所、休場しても何か意見を言うことはない」と断ったうえで、「祈るような気持ちで(復活を)期待している」と話した。
「照ノ富士は、次の九州場所も安心して休場できるが、再起には古傷の膝の手術が必要不可欠。しかし、手術しても完治する保証はどこにもないほど重症のようだ」(協会関係者)
全滅もありそうだ。