9月30日、『笑点』(日本テレビ系)のレギュラーとして知られた落語家・6代目三遊亭円楽さんが亡くなった。
円楽さんの芸風といえば、何と言っても社会や政治といった世相を斬る〝風刺〟ネタだろう。だが、晩年はその毒舌に行き過ぎが見られ、首相個人に対する侮辱・人格否定だと炎上することも多かった。
「2015年8月9日の放送、円楽さんは鍼灸師に扮した大喜利で『耳がよく聞こえるようにしたいんですね?』『どこに鍼を打っても、国民の声は聞こえるようにはなりませんよ、安倍さん』と回答。当時、集団的自衛権の行使容認が世論の反発を受けていたことから、安倍晋三元首相と聴覚障害の方をバカにしたと物議を醸しました」(テレビ誌記者)
今思うと、円楽さんの大喜利はこうしたイデオロギー的なものが多かった。
「20年3月の放送では、野球のキャッチャーになりきる大喜利で『憲法改正どう思う?』『野球選手だろ。〝キュウジョウ〟は大切にしろよ!』と回答。『球場』とかけ、9条を中心とした憲法改正を目指す安倍政権の姿勢を皮肉りました。このように、円楽さんは自分の思想を大喜利に組み込み、さも改憲が悪いことであるかのように喧伝したこともあったのです」(同・記者)
「政治的な誘導を企図した偏向と言われても仕方ない」
中でも、最も物議を醸したのは、18年5月27日の放送だろう。
「この回で『騒音』がお題になると、円楽さんは『安倍晋三です。トランプ氏から国民の声は聞かなくていいと言われました』と回答しました。これを、政治評論家の石平太郎氏が《偏った政治批判が飛び出たことに吃驚した。大好きな笑点だが、そこまで堕ちたのか》とツイートしたところ、賛同が殺到する大きな話題に。以降、円楽さんの風刺には批判の方が強くなり、石平氏はその後のコラムでも、《政治批判が目的であって『笑点』としての面白さは二の次となった》《一般庶民の視点からの政治批判というよりも、特定政党の視点からの批判である》などと問題点を指摘しています」(お笑い評論家)
さらに、当時はネット上で、
《政府批判は賢いと思っているバカ》
《この番組の場合、政治ネタ=反自民ネタしかない これでは政治的な誘導を企図した偏向と言われても仕方ない》
《ほんとに気持ち悪い》
《聞いていて反吐が出ます!》
《政権批判したら受ける、的な昭和のノリ》
《卑怯にもほどがあります》
などといった声が殺到。視聴者の多くも、円楽さんの芸風を疑問に感じていたようだ。
「円楽さんは政治風刺を得意としていましたが、その感覚も、晩年には時代に合っていませんでした。安倍政権は長年に渡って高支持率を維持、選挙も全勝した政権でしたから、これを批判するのは、主権者である国民を馬鹿にすることにもなってしまう。そもそも、円楽さんは文化庁の助成金を受けている落語芸術協会の会員ですから、国の批判をしたいなら脱会後にするべきでしたね」(同・評論家)
天国で安倍元首相に会ったとき、円楽さんは何を話すのだろう。ともあれ、ご冥福をお祈りするばかりだ。
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