蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~スポーツ選手のスキャンダル報道による忖度

プロ野球・読売ジャイアンツの坂本勇人選手の女性スキャンダルが発覚した。


報道によると、坂本選手は飲み会で知り合った20代女性に一方的な肉体関係を求め続け、やがて妊娠が発覚すると堕胎を迫り、その女性はショックで自殺未遂を起こしていたという衝撃的な内容だった。


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この一連の行為について擁護するつもりはまったくないけど、このようなスポーツ選手の性的スキャンダルが頻繁に報道されているということは、個人の資質だけでなく、もっと構造的な問題があるような気もするね。


野球選手はモテるし、試合で全国遠征するから、ひと昔前は、その土地ごとに愛人を作るような選手も多かった。


これはプロレス界も同じだけど、女性ファンの中には、特定の誰かを応援しているわけでもなく、有名選手なら誰でもいいとばかりにベッドに誘うようなタイプもいる。だから選手にとっては遊んでるつもりかもしれないけど、女の子からしてみたら、ジャイアンツの選手で有名で将来性もある。チャンスがあればアタックするなんてのは、女性に限らずスポンサー筋も一緒だと思う。


そんな女性ファンも含めて、人気選手には誘惑も多いだろうから、球団側も「巨人軍は常に紳士たれ」とモラルを押し付けるだけじゃなく、夜指導の風紀委員として裏監督を作るべきだ。適任指導者はOB先輩に幾らでもいるのだろう。

言い訳せず頭を下げる…

オリンピック・アスリートに対して、禁欲を推奨する国もあれば、宿舎まで奥さんやパートナーが同行するという国もあった。どちらにせよ、性的欲求を抑えられない傾向にある選手に対して、しっかりとマネジメントするというアプローチがあってもいいと思う。

その中には、過剰な性行為で体を壊してしまう人がいるからね。特にヒザや腰には思わぬダメージが出てしまうこともあるから、負担のない体位を推奨するとか、パートナーを含めてレクチャーする機会があってもいいかもしれない。


それと内容はともかく今回の坂本選手のスキャンダルをテレビのワイドショーやスポーツ新聞があまり取り上げないという声を聞く。当事者間で示談が成立しているから、ということもあるのかもしれないけど、やっぱり巨人の看板選手ということでメディア側が忖度している部分はあると思う。


偏った報道は世の常、珍しいことじゃない。世界中、報道の偏見はマスコミの専売特許。政治、経済の報道に比べたらスポーツは可愛いもんだろう。サッカーでもバイエルン、マンチェスターU、バルセロナなどの一流クラブの忖度は巨人の比ではない。要は「金」だ。


坂本選手も、逃げることなく記者会見ですべてを話したほうがいいよ。ちゃんと顔を出して、経緯を説明して、当事者間で処理しますと頭を下げれば、世間はそれ以上追及しないよ。


いま東京オリンピックの汚職事件で続々と逮捕者が出ているけど、あれも関係者が言い訳ばかりするから、逆にまだ何か隠しているんだろうと思われてしまう。どうせバレることだから、ごまかさないほうがいい。


「常に紳士たれ」と言うなら、球団側もちゃんと説明するべき。本当の紳士とは、間違ったら謝ることができる男のことだからね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。