『ソングバード』
監督・脚本/アダム・メイソン
出演/KJ・アパ、ソフィア・カーソン、クレイグ・ロビンソン、ブラッドリー・ウィットフォード、ピーター・ストーメア、アレクサンドラ・ダダリオ、ポール・ウォルター・ハウザー、デミ・ムーア
提供/WOWOW
配給/ポニーキャニオン
本作が撮影されたのは、2020年7月。場所は、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックでロックダウンされたロサンゼルス。リアルな状況を利用して、たった17日間で撮り切ったそうです。
その時期は、世界中で多くの撮影が中断を余儀なくされ、エンターテインメント産業が大打撃を受けていたはず。あえて逆境を逆手に取る企画はお見事です。
人っ子一人いないゴーストタウンと化したリアルな状況を取り込むために、iPhone、GoPro、監視用カメラで撮った動画を素材として使ったそうです(パンフレットによると、『日和見撮影』とか言うらしい)。とにかく何でも使って、スピード重視で撮り切ったんでしょう。映画の尺も1時間半を切っていて、日本のテレビドラマを1本見る感覚で楽しめます。
物語の舞台は2024年の設定。新型コロナウイルスはさらに強力で致死率の高い恐ろしいウイルスへと変異し、罹ったら最後、50%以上の確率で死ぬから、4年以上もロックダウンが続いている…。感染者や感染を疑われる者はアウシュビッツもかくやと思われる収容所に隔離され、二度と出てこられない。アメリカでいつ公開になったかは知りませんが、観客はさぞや震え上がったことでしょう。
どのような状況でも…
しかし、日本公開となった2022年の今現在。日本と中国以外の欧米では、パンデミックなんてなかったかのような開放感。大谷翔平の試合を欠かさずテレビ観戦していますが、スタンドの観客たちは誰もマスクをしていないし、ソーシャルディスタンスも…。
日本でも、緩和される一方の現在ですが、私自身は相変わらず3密を避け、外出先から帰った後、玄関先で消毒液を全身にシュッシュッと吹き付ける儀式も欠かしません。映画の中で、配達人と触れ合わずに玄関の内外で荷物の受け渡しができ、紫外線か何かで消毒までできる宅配ボックスが登場しますが、「あれ欲しい」と目が釘付けに。
こんなにも厳格な基準のまま日々を過ごしているのに、昨日どうしても辞退できなかったセレブなホームパーティーに参加してまいりました。場所は、CM監督さんの都内のご自宅。映像関係者や俳優さんたちもたくさんいらっしゃっていました。
しかし、とにかくギョーカイの方々はにぎやか。自分は飲み食い以外にはマスクを外せませんでしたが、誰一人としてマスクなんてつけていません。
ああ、ついに感染かも…と、これまでの努力が水泡に帰すことを、つい想像してしまった自分です。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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