毒薬準備もお手の物。働きながら大学院にも通ったエリートが、海外留学までして得た薬学知識は、妻の毒殺に生かされたようだ。
製薬大手「第一三共」研究員の吉田佳右容疑者(40)が、今年1月に東京都大田区の自宅マンションで妻の容子さん(40)にメタノールを摂取させて殺害した疑いで9月16日、警視庁捜査1課に逮捕された。
容子さんの死因は急性メタノール中毒で、搬送先の病院から警察に通報された。警察の調べに対して、吉田容疑者は「妻に殺意を抱いたことはない。家にメタノールを持ち込んだこともない」と容疑を全面的に否認しているという。
吉田容疑者は北海道大学大学院薬学研究科を修了後、2007年に「第一三共」に入社。研究員として新薬の開発に携わっていた。
「仕事の傍ら千葉大大学院に通い、15年に博士号を取得。18年から2年間アメリカの大学へ博士研究員(ポスドク)として留学しました。周囲には『留学させてもらったので会社に貢献したい』と語り、仕事にも意欲的でした」(会社の同僚)
夫のDVに悩んでいた妻
妻の容子さんは京都大学大学院卒で、吉田容疑者とは同期入社の仲。10年に結婚し、翌11年に容子さんは別の会社へと移っていた。
その後生まれた長男と3人で暮らしていたが、数年前から夫婦仲が悪化し、家庭内別居状態に。容子さんは夫からのDV被害で警察にも相談していたという。
容子さんのスマートフォンからは、夫婦が激しく口論する動画や、吉田容疑者による暴行とみられる顔のあざを撮影した画像が複数見つかっているという。
警察は容子さんに自殺の動機がなく、吉田容疑者が職場から猛毒のメタノール原液を容易に入手できることから、職場を家宅捜索するなど捜査を進め、逮捕に踏み切った。
製薬会社研究員にとって、薬品はいわば商売道具。メタノールお持ち帰りのテレワークは御免被りたい。
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