日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『アユ』神奈川県秦野市/金目川産~日本全国☆釣り行脚

ついこの間まで酷暑やら熱中症やらと言っていたのが、気がつけば9月も半ばを過ぎました。そしてついこの間、6月の解禁を迎えたような気がするアユ釣りも、すでに終盤戦。せめて一度くらいはアユ釣りの雰囲気を楽しみたい。ということで、向かった先は神奈川県秦野市を流れる金目川です。


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アユ釣りといえば、一般的にはおとり鮎を使った「友釣り」が有名。ですが、この連載をお読みいただいている方はご存知のとおり、ワタクシ、腕のよくない〝ちゃんとしてない釣り人〟ですので、友釣りなどという技術を要する崇高な釣りができるはずもありません。イカリ針が6〜7個付いた「コロガシ仕掛け」という仕掛けで、アユを引っ掛ける釣り方オンリーです。ちゃんとした友釣り師から見れば邪道な釣りかもしれませんが、まあ、アユにしてみれば友釣りは、〝因縁をつけられて乗っかった揚げ句に釣られる〟に対してコロガシは、〝いきなりさらわれて釣られる〟という違いはあれど、どのみち〝釣られてしまう〟ので、どちらにしても、たまったものではないのかもしれませんな。ということは、エサ釣りは魚に対する〝詐欺行為〟になるのか?


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早朝の小田急電鉄秦野駅に降り立ち、まだ薄暗いなか駅前のバスターミナルから平塚駅行きのバスに乗り込みます。今回竿を出す金目川は、秦野駅〜平塚駅間を走る神奈川中央交通の路線バスが、川沿いを走るため移動は楽チン。それなりに本数もあるのでポイント移動の際もバスで移動できるという、公共交通機関を利用する釣り人にはありがたい釣り場でございます。

衝動的に降車ボタンを押して…

秦野の街中を抜けると、やがて車窓には道路に沿って流れる金目川が見えてまいりました。本当はもう少し先の停留所で下車の予定でしたが、やや水量が多めの流れと良さげな堰堤が目に入ったら、はやる気持ちを抑えきれず、衝動的に降車ボタンをピンポン。バスを降りて、いそいそと河原に下り立ち準備に取りかかります。

安物の渓流竿に糸とオモリ、そして仕掛けを結んで出来上がり。早速、仕掛けを流れに入れてシャクること数回でプルプルッと弱い手応えが伝わります。釣れたのは型狙いの終盤戦らしからぬ小アユ。今回のような100%天然遡上の河川では秋口でもこのサイズは交じりますから「次こそは!」と再びシャクります。が、掛かってくるのはことごとく痩せた小アユばかりです。どういうことでしょうか?


しばらく続けるうちに日が高くなり、ザバザバという音に川の上流側をみると、投網を担ぎ地元の年配者が登場。そしてバサァ! と投網を打ち始めました。なるほど! これで小アユばかりの理由が分かりました。地元の方が日々投網を楽しんでいる=網の目を抜けられる小アユしか残っていない、ということで撤退。竿を畳んで川から上がり、再びバスに乗って移動です。

不完全燃焼も旨いアユに舌鼓

 

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車窓から見える川を眺めつつ、網の入らなさそうなブロックと大きめの石が点在するポイントで下車。河原に下りると押しの強い流れで、いかにも良型が付いていそうな雰囲気です。ここなら網も入るまい、とシャクるうちにガツン! キュイーンと竿が絞り込まれました。そうそう、コレが味わいたかったのよ♡と抜き上げたのは18センチほどの綺麗なアユです。魚をコンビニ氷にしまって、再び流した仕掛けをシャクると、キュインで一回り小振りなアユが続けてハリ掛かり。「さあここから」と、シャクる手にも力が入りますが、後が続かず。シャクれども小アユも掛からぬ静かな時間となってしまいました。


アユ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

せめてあと1尾、とポイントをずらしながら釣り続けていると、シャクる手がガツンッと止まり、久しぶりにギュイーンッと心地よい引きが伝わりました。今日一番の手応えに、「バレるなよっ」と祈りつつ慎重に抜き上げたのは20センチちょい。今日の状況からすればまあ納得サイズです。


アユ 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

まだまだ不完全燃焼ではありますが、この頃より小雨がポツポツと落ちてきたこともあり、やや後ろ髪を引かれながらも納竿。朝から何も食べずに半日竿を出していたことから、秦野駅の〝箱根そば〟にて、ざるそばをたいらげてから帰路に就きました。


アユの塩焼きと天ぷら 日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、持ち帰ったアユは塩焼きと、小アユは天ぷらにして晩酌です。清流の天然アユですから塩焼きが旨いのはもちろん、釣っていた時には物足りなかった小アユも、天ぷらにすれば極めて美味。腸のほろ苦さに日本酒も進みます。少し物足りなさも感じられたアユ釣りでしたが、1日を終えてみれば、ほどよく満足となったのでありました。でも、もう1回くらい行きたいなぁ…。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。