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LiLiCo☆肉食シネマ~『LAMB/ラム』/9月23日より全国公開

Ⓒ2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

『LAMB/ラム』
監督/ヴァルディミール・ヨハンソン
出演/ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グズナソン、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
配給/クロックワークス

私はこの連載で紹介する作品を、締め切りのギリギリに決めるタイプです。でも、今回ばかりはかなり早めに選択し〝私はこの号で『ラム』を紹介します!〟と編集部に連絡しました。交互で連載している、やくみつるさんに取られないように(笑)。

この『ラム』を3カ月前に見た私は、度肝を抜く展開に興奮し、宣伝担当の方とも、『王様のブランチ』(TBS系)のディレクターとも大盛り上がり。話せば話すほど面白くて、見た人それぞれの解釈も興味深く、さらなる発見がたくさんあります。あまりにも興奮したので、もう一度見直したくらい(笑)。〝もしかして、私の想像が勝手にどんどん面白くしてしまっているのでは?〟と心配になり、再確認のために見直しましたが、やっぱりすごい1本だわ。今年のベストワンの衝撃! 心臓バクバクだった。

さて、この作品で大事なのは、役者の表情を読み取ること。何かを背負って生きてます。みんなそうですが、見進めていくにつれ、どんな人生を歩んだのかが分かっていく。冒頭の30分はたぶん、〝なんじゃこりゃ?〟と思うでしょう。夫婦がただ単に羊のお世話をして、ほとんどセリフもない。あっても聞き慣れないアイルランド語ですから。

なぜ、あの人があんな行動を…

そんな夫婦のもとに、ある日、可愛い羊の赤ちゃんが産まれます。でも、なぜか他の仔羊よりも大事にする。ここから徐々に目が離せなくなります。不思議です。ずっと静かでなんか暗いし、スクリーンもグレーや青みがかった色合いなのに、数々の衝撃からのオチが待ち受けるのだから!

私は最後まで見て、思ったのが〝あれ? 何かが合わない…〟ということ。監督も、はっきりと意図を話さないらしいのですが、私の読み取り方では、すべてが腑に落ちます。特に見直した時に気付いたのですが、小さな細かいネタが深く、余計に怖く感じました。

奥さんを演じるのはノオミ・ラパス。スウェーデンの『ミレニアム』シリーズの主人公を演じ大ブレーク。感情をどう絞り出せばいいのか、なかなか困難な難しい役を見事に演じてました。

あの時、あの瞬間の顔、なぜ、あの人があんな行動を…。また、あるシーンでは思わず「えっ!?」と声が漏れてしまうかも! ここでは明かせないだけに、ああ〜っ、早くみんなに見てほしい。

次回は作品紹介ではなく、答え合わせを話したいほど。この作品を見た後、もし街で私を見つけたら声を掛けてね! みんなの意見が聞きたいです。くぅ〜、興奮が収まらない!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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