『劇場版 山崎一門 日本統一』公開記念リレーインタビュー〜強面に隠された意外な素顔・山口祥行〜
その2回目となるゲストは、本宮泰風とともにダブル主演を務める山口祥行だ。シリーズの裏話から映画撮影の苦労、さらには愛犬家という意外なプライベートの話まで語り尽くした!
――初の映画化となった『日本統一』ですが、山口さんにとって、一番の見どころを教えてください。
山口「まず、シリーズ本編(任俠ドラマ『日本統一』)とは違って、クスッと笑ってしまうようなコメディー要素が入っているので、任俠ものが苦手な方でも楽しんで見られると思います。今作でも本宮がプロデュースをしていることもあり、とにかく〝本編と比べて山崎一門の8人のキャラをどう確立していくのか〟を一番に考えて作りました。主役一人一人の個性を大事にうまく昇華できていると思うので、群像劇としても楽しめるし、見た人は、今後〝推し〟となるお気に入りの役者が、きっと見つかると思います」
――任俠ドラマシリーズとしては、過去に例を見ない長編になりました。劇場版になったことも踏まえ、その要因はどこにあると思いますか?
山口「53本といっても、いいことばかりではありません。とにかく、いろいろあったんですけど、自分たちはこのシリーズに集中し頑張ってやってきました。その甲斐あってか、最初こそ手探りだったのが、途中からメーカーさんをはじめ、制作のプロの方たちが一緒になって物作りに取り組んでくれた。今回の劇場版もそうですが、シリーズを重ねるごとに一層、チームワークが良くなってきていると実感しています」
プライベートでも愛犬家
――『日本統一』を続ける中で、山口さん自身、意識したポイントはありますか?山口「シリーズを続けるためには、次の1話、その次の1話を確実に面白くしなきゃいけない…というのは、とても意識していますね。たくさんのお客さんに見てほしいという思いがあり本宮ともよくしゃべっているんですけど、スピンオフや映画でも、いろんな色を見せようとしています。例えば、山崎一門であればストーリーの中でのお笑い要素だったり、川谷(雄一=小沢仁志)であればヒューマニズム、また、(自身が演じる)田村悠人であれば、愛犬家の一面とか…」
――お聞きしたところによると、プライベートも愛犬家だとか。
山口「そうなんです(笑)。作品の中で出てくるダンベルという名前の犬は、本当に自分の愛犬なんです。ダンベルはチワワとミニチュアダックスフントのミックスで13歳。1匹だけだと寂しいので、もう1匹飼っていますが、名前はスミスで1歳のピットブル。どちらもオスで一緒に散歩もさせますよ。実は、ダンベルを出演させたのは泰風のアイデアなんです」
――まさか、愛犬家だったとは意外です(笑)。ちなみに劇中では、見事な肉体美を披露していますが、最近のトレーニング頻度は?
山口「仕事に入っている時はほぼジムに行けないので、空いた時に、ものすごく行きます。筋トレは部位を胸、背中、肩、脚に分けて鍛えてます。ただ、アクションは若い頃にさんざんやったので、練習はもうやってないですね。格闘技に関しては本宮さんにシゴかれていますけど…(笑)」
――映画の主演はシリーズにも出ていた「山崎一門」の8人ですが、ご自身の出演シーンの見せ場はどこですか?
山口「今回の劇場版では、本宮よりは出演シーンが多いんですが、それでも、ちょっとしたアクションシーンぐらいですかね(笑)。あくまでも主役は山崎一門なので」
8人みんなの成長はすごい
――実際、主演を務めた「山崎一門」の8人の演技は、いかがでしたか?山口「みんな、性格がとても良く、テレビやスマホなどで見る本編じゃなくスクリーンに映るからって、すごく気合を入れて頑張っていましたね(笑)。山崎一門のテーマは泥臭いところ。劇場版では、その泥臭さがいつも以上に発揮できていたので、いい感じに仕上がっています。8人それぞれのキャラがあるんで、一人一人の個性が出ていたのがステキなところ。自分が知っている彼らの個性を、出し尽くしていると思います。最初こそ、一門の人数も多いし、みんな〝どうしようこうしよう〟とバラバラだったんですが、次第にバランスが取れてきて、ベストな状態で映画を迎えることができたと思います」
――「山崎一門」の中で、特に成長した俳優はどなたですか?
山口「もう、みんな成長はすごいですね。特に(川﨑)健太(山村義明役)は、出始めの頃はド素人みたいだったのに、しっかりと俳優になりましたよね。健太からしたら共演者はみな先輩なので、全員が親身になってアドバイスしていましたよ。健太は、本当にアクションも上手になってきましたね」
――劇場版の撮影でも、いろいろとアドバイスをしたのでしょうか?
山口「劇場版に関しては、どちらかといえば一門のメンバーが自主的に頑張っていたので、僕があまり口を出してもしょうがないと思い控えてました。映画で予定していたアクションの基本的な見せ方をレクチャーしたぐらいです」
――今回、プロデュースにも関わった本宮さんの手腕はいかがですか?
山口「総合プロデューサーとして名前が入りましたが、実はシリーズの30作ぐらいから裏で構成などに関わっているんです。だから、劇場版にもスムーズに入ることができたと思います。山崎一門の子たちは、役作りを含め、やりやすかったと思いますよ」
山口「本当にいい歌ですよね! 秋元(康)さんにプロデュースしていただけるとは聞いていなかったんで、歌うことができた一門とすれば、うれしかったんじゃないですか。レコーディングを見に行きましたが、みんな歌がうまかったです」
――ところで、シリーズ本編の初期には、山口さんの出身であるJAC(旧ジャパンアクションクラブ)の創設者で昨年8月に亡くなった千葉真一さんも、初代「侠和会」の会長・権田誠蔵役で出演されていました。
山口「そうなんです。現場での絡みはなかったんですけど、『千葉さん、押忍!』とあいさつはさせていただきました」
――千葉さんも出演されていた『日本統一』シリーズ。今後の展望をお聞かせください。
山口「シリアスな内容が多いんですけど、本宮と脚本家が時事ネタが好きなので、よりドラマに入っていけるよう、うまく取り入れながら台本を書いてくれています。今後は、本編シリーズがあってスピンオフがあって、劇場版をもっともっと公開して、いずれ『スター・ウォーズ』化していけばいいなと本気で思っています(笑)。もともとは、本宮と僕のバディものとして始まっていますけど、劇場版では群像劇の要素が強いので、また違った『日本統一』が見られるのではないかと思います。今後も、いろんな楽しみ方を見せていけたらいいなと思います」
――山口さんにとって『日本統一』という作品は、どんな存在ですか?
山口「もう10年近くやっているんでライフワークに近いんじゃないですか。基本的に1カ月の撮影期間で5本撮るんですけど、準備やなんだかんだで今となってはほぼ1年関わっています。ただ、作品構成などを考えなきゃいけない泰風は、俺なんかよりも大変。僕なんかおんぶに抱っこですよ」
――作品のタイトルにかけて、もし今、日本を統一できたら、真っ先に何をしますか?
山口「山口祥行としては、アジア統一ですね。理由? 世界平和のためにです!」
――最後に、本誌の読者に、映画のPRをお願いします。
山口「もう、全部、見ろ! 何回でも見ろ! 『日本統一』を見ろ!…しつこいですね(笑)」
(撮影/笠井浩司)
やまぐち よしゆき 1971年8月6日、東京都出身。1988年に『クレイジーボーイズ』で映画デビュー。2013年から主演を務める『日本統一』のほか、同作のスピンオフ作品『日本統一外伝 田村悠人』でも主演を務める。ジャパンアクションクラブ(JAC)出身。本宮泰風とは高校時代からの親友として知られている。
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