コロナ禍需要を追い風に「ドラッグストア」絶好調〜企業経済深層レポート
コロナ禍でもドラッグストアは絶好調だ。日本チェーンドラッグストア協会(東京)によれば、業界全体の2021年度の売上高合計は、対前年度比6.3%増の8兆5408億円。2011年度は4兆円弱。10年で倍以上増加している。
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これは不況といわれる全国の百貨店の21年の売上高4兆4000億円(日本百貨店協会発表)を大きく上回る。好調の理由をマーケティングリサーチャーが、こう明かす。
「ドラッグストアはマスクや消毒液などで『コロナ特需』に恵まれましたが、好調の理由は他にもあります。1つはドラッグストアならではの大ディスカウント。ドラッグストアの柱は、利益幅の大きい薬類と化粧品です。この主力商品のおかげで多少の損失はカバーできます。つまり他の日用品や飲料水などで、仕入れ価格を大きく割る大ディスカウントも可能になるのです」
消費者を惹きつける理由はもう1つあるという。
「食料品を扱うドラッグストアの急増です。医師の処方箋薬をもらうために立ち寄ったドラッグストア1店舗で、日用品から食品まですべて購入できてしまう。いわゆるワンストップショッピングです。その利便性が高齢者を中心に人気を呼んでいます」(同)
好調ぶりは各企業の決算でも明らかだ。トップを走るのは業界初の売上高1兆円超えを達成したイオングループに属する「ウエルシアホールディングス(以下HD)」=東京・2468店=だ。経営コンサルタントが言う。
「前期は売上高9496億円でしたが、昨年は広島県を本拠地にし、中国地方や四国に強いドラッグストア『ププレひまわり』を傘下に加えて飛躍しました。2月決算の売上高は1兆259億円です」
円安とエネルギー高騰の影響…
業界5位の「スギHD」=愛知県大府市・1507店=も22年2月決算では、売上高6254億円と前年同期比3.8%増と好調だ。業界全体では伸びているとはいえ、懸念もある。大手同士の競争激化だ。
他店より安く売るには仕入れボリュームを増やし、仕入れ価格を下げるのがセオリー。ボリューム増には店舗増。かくして上場12社の店舗数は今や約1万3000店。10年前の倍である。業界関係者が言う。
「人口減が続く小都市でもドラッグストアが7〜8店舗もひしめき、同系列店も複数立っています。もちろん『ドミナント戦略』という一地域への集中的な投資で、占有率や知名度でライバルに勝つ戦略をあえて取るケースもあります。ですが、オーバーストアで同じ系列店同士が足を引っ張り合う現象も起きています」
業界関係者が続ける。
「懸念されるのは円安やエネルギー高騰の影響。メーカーは相次いで価格転嫁に踏み切っています。薬など粗利の高い商品に依存し、全体利益を確保するのが難しくなりつつあります」
それを裏付けるように売上高こそ伸びているが、主要7社の22年度の純利益率は対前年比0.3ポイント減の2.9%。これは2015年度以降では最低値だという。
各社策をこらし動き出した
不安が広がる中、各社知恵を絞り、好調な売上高にブレーキがかからないように動き出している。まずは業界3位の「コスモス薬品」(福岡市=1244店)。業界関係者が解説する。
「コスモスは来期7.7%増の8135億の売り上げで1兆円を見据えています。人口減少地域などの小さな商圏のロードサイドにあえて大型店を出店し、地域のオンリーワン店を狙う手法です。しかも販売構成比で6割近くを食品が占める『スーパー型ドラッグストア』での出店。合言葉はEDLP(エブリディ・ロー・プライス)、『毎日が特売日』で攻勢をかけます」
業界8位の「クスリのアオキHD」=石川県白山市・826店=の動きも注目だ。フードアナリストが語る。
「アオキも、コスモス同様『薬もあるスーパー』に転身するかのようです。金沢市を中心に生魚で定評ある生鮮食品スーパー『ナルックス』の買収を皮切りに、京都、岩手、茨城など全国で食品スーパーを傘下に収めています。背景には福井の風雲児、業界11位のドラッグストア『ゲンキー』が生鮮など食料品を充実させ、アオキを猛追していることが大きい。ですがアオキも2026年目標売上高を5000億円と定め、鼻息は荒い」
業界6位(20年)の「マツモトキヨシ」(千葉県松戸市)と7位(同)の「ココカラファイン」(横浜市)が合併し21年に「マツキヨココカラ&カンパニー」=東京・3328店=が誕生。こちらも攻めの姿勢だ。
「マツキヨはコロナ前までは業界トップ。大都市中心の店舗展開で若い女性向けの化粧品が爆売れし、中国人の爆買いで沸騰しました。ところがコロナで一転し、トップから転落。そんな苦境の中、調剤に強いココカラと大型合併。合併後の22年3月決算では、売上高は7299億円と対前年比34%増で息を吹き返しつつあります」(同)
生き残りに必死なのは各社同様で、マツキヨココカラ連合を超える大型合併の気配もある。食品の売り場面積を拡張し始めたドラッグストアの動向に、スーパー業界もピリピリだ。
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