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JRA重賞『ローズS』(GⅡ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想!

(C)JRA
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待望の秋競馬到来でも〝春〟は遠い。〝場替え〟して心機一転のはずが、早くも頓挫した。敗因の1つは、格でいえばGⅡで1番人気がメチャ堅いセントウルSを敢えてスルーして、〝荒れっぱなし〟の京成杯オータムHをチョイスしたことだ。

「とにかく〝当てたい〟ボクとしては、1番人気(多分メイケイエールか)から買えばだいたい当たるはず」と記しながらである。案の定、楽勝の1番人気メイケイエールで、2着に団野ファストフォースが来てヒモ荒れ。実際、こっちの馬券はしっかり取ったのだが…と後悔しても覆水盆に帰らず。レ・ミゼラブル、あゝ無情!

京成杯については「無謀かなあ。まあ久々に首都圏に競馬が戻ってくることだし、秋本だけに〝秋(オータム)〟が入ってる重賞を優先しなきゃ」と、無理くりこじつけ、哀れ撃沈の憂き目に。やっぱり年寄りの冷や水、やせ我慢は身体と財布に毒だ、と肝に銘じた次第。狙った馬では吉田隼ファルコニアが堂々1着のみ。穴と狙った戸崎ルークズネストは出走馬中ペケだもの。それならこれまで馬券的にお世話になっている岩田康なんだからミッキーブリランテを買っておけよ、って話ね。

と、月曜日に反省しても、金曜日には臨戦態勢にもう入っているのが競馬ファンの常。今週は3日間開催だ。おいおい、また金が出て行くのか? 否、今週こそ大儲け! 信じる者は救われる…多分。というわけで、勇躍、日曜重賞のローズSに参ろう。

例年、オークス掲示板入着組が強いレースだが、今年は該当馬がなく、7着の川田アートハウスを繰り上げてみよう。1番人気濃厚だが、この夏まであれほど不振だったGⅡ・Ⅲの1番人気が、ここ2週、札幌2歳S、紫苑S、京成杯オータムH、セントウルSと勝利し、6重賞で4勝なら心強い。16着の吉田豊パーソナルハイでは苦しいような気がする。相手はまず、今年がラストクロップのディープインパクト産駒が活躍してきたこのレースだけに、同産駒から坂井ラリュエルをチョイスしよう。

“映画連想馬券”はアート映画の巨匠を偲んで…

さて、例年ならば川田とリーディング争いをしているはずだが、今年は(先週の時点で)40勝の大差をつけられているルメール大将が乗るサリエラの取捨が難しい。2戦2勝馬だが、おそらく420キロ台となるだろう馬体重が、女優も牝馬も〝肉体派〟が好きなボクは気に入らない。例外はあるが、基本的には430キロ以下の馬は買わない主義。肝心の大将も先週のセントウルSで騎乗したソングラインが凡走し、まだまだ重賞ではアテにならない今年であり、ここは無視してしまおう(いいのか? いいのだ)。

前出のラリュエル、ご贔屓松山が乗るルージュリナージュも買うのだが、実はともに430キロ前後の馬。当日はぜひぜひ430キロ以上で出走を! 他ではメンバー唯一の3勝馬の古川吉メモリーレゾンが捨て難く、福永が固執するセントカメリアもコワい。好調・池添が乗るエグランタイン、一発秘めた浜中ブルトンクールまでか。

さて〝映画連想馬券〟だが、アートハウスから、〝アート映画の巨匠〟を連想し、14日(水)死去の報が届いた映画監督ジャン・リュック・ゴダールの作品を。享年91。仏紙によると、スイス国内では合法の〝尊厳死〟を選んだ、とか。それもまたセンセーショナルで、いかにもゴダールらしい、ということか。そういえば、ゴダールって名前の馬がひと昔前にJRAにもいましたなあ。

ゴダール監督は、斬新な映画手法を駆使して、いわゆるヌーベルバーグ(新しい波)を世界に巻き起こした鬼才で、初期の『勝手にしやがれ』(60年)、『軽蔑』(63年)、『気狂いピエロ』(65年)など、主人公の凄絶死で終わる鮮烈な一連の異色作は大好きだったが、『中国女』(67年)あたりから〝アート臭〟〝政治臭〟が強くなりすぎ、独りよがりで、難解で、冗長な作品としか思えなくなり、私の〝ゴダール熱〟はすっかり醒めてしまったことを思い出す。人気女優アンナ・カリーナとの二度の破局に象徴されるように、最終的にはスターを御し切れなかったのも痛い。初期にはジャン・ポール・ベルモンドやブリジット・バルドーらスターを巧みに使っていたというのに…。とはいえ、〝巨星堕つ〟、であることは変わりなく、合掌。追悼鑑賞には、初期の異色作を選びたいものである。

さて、最終的な買い目は、⑧から①②⑤⑦⑨⑭への馬連&3連複。アートハウスと心中状態では少し怖いので、①⑤⑦⑨の馬連ボックスも。今週もあまりイレ込まず、控えめに。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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