プーチン大統領も暗殺される!? 相次ぐ不審死の背景に“ロシア超強硬派”の存在
ロシアのウクライナ侵攻から間もなく7カ月、戦争が泥沼化する中で、プーチン大統領が厳しい立場に追い込まれているという。周辺に「核兵器を含む、より積極的な攻撃が必要だ」と訴える〝超強硬派〟が台頭し、身の危険を脅かされているのだ。
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ウクライナ東部や南部地域の最前線では、欧米からウクライナへの武器供与がようやく実現し、対戦車用の携行式ミサイルの「ジャベリン」や高機動ロケット砲「ハイマース」などが、ロシア軍の戦車や弾薬庫、補給路などを次々と破壊している。
ロシア軍はウクライナで高級将校10人以上が戦死したほか、兵士の犠牲者も7万〜8万人に達したとの試算もある。当然、ロシア軍の士気は高まらず、軍服を捨てて逃走する兵士も続出しているという。
また、西側諸国の経済制裁によって半導体などのハイテク機器が不足し、ロシア軍には武器の供給もままならない。イランからドローン(無人航空機)を調達したほか、あの北朝鮮からロケット弾や砲弾を調達しようとするほどの惨状だ。
こうした中、ロシアの首都モスクワで異変が起きた。9月1日、同国2位の石油大手『ルクオイル』のラビリ・マガノフ会長が入院先の病院で死亡したのだが、会社側の「重病で死去」という発表に対して、ロシア国営タス通信が飛び降り自殺と報じたのだ。
しかし、病死、自殺、どちらの発表もうのみにする人はほとんどいない。
というのも、ルクオイルは今年3月、ロシアのウクライナ侵攻について「悲劇的」という声明を発表し、紛争の早期終結を呼びかけていた。反戦の姿勢を明確にしたことから、諜報機関による「口封じ」や「見せしめ」の意図があったと考えられているのだ。
プーチン氏の不審な動き
マガノフ氏の死亡が注目された理由は、それだけではない。「マガノフ氏が死亡したモスクワ市内の病院は、政財界のエリートが治療を受けることで知られている。実は、8月30日に元ソ連大統領のゴルバチョフ氏が死亡したのも同じ病院で、2日後にマガノフ氏の一件が起きています。そして、直後にはプーチン氏が、ゴルバチョフ氏の弔問に病院の霊安室を訪ねているのです」(大手紙外信デスク)
国のトップであるプーチン氏の行動スケジュールは、本来なら詳細が明かされることはない。暗殺や誘拐など不測の事態を避けるために、訪問先の調査も事前に徹底して行う。
「いくら弔問とはいえ、有力者が死亡してごった返している病院に、大統領がのこのこ出かけて行くことはあり得ない。プーチン氏の日程を調整できる勢力が、マガノフ氏を殺害した当日にあえて弔問に行かせることで、暗に圧力をかけたとの観測も出ています」(同)
毒を盛ったり、事故死に見せかけたり、秘密裏に要人を殺害するのは、ロシアの諜報機関が得意中の得意とするところ。かつては野党指導者らプーチン氏の政敵が主な標的だったが、2月24日のウクライナ侵攻前後から、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)関係者が次々と謎の死を遂げている。
今年1月、石油大手『ガスプロム』傘下の投資会社幹部が浴室で死亡したのをはじめ、2月には同じくガスプロム幹部の遺体が、自宅ガレージで発見された。
3月には医薬品大手『メドストム』の元幹部と妻子の遺体が見つかった。さらに、4月にはガスプロム傘下の金融機関の元副社長が、妻と娘を銃殺したうえ自身も自殺した「無理心中」が報じられた。
その翌日には天然ガス大手『ノバテク』の元副会長が、スペインの別荘で妻と娘を殺害後、庭で首を吊って死亡した。この事件も不審な点が多かったが、警察当局には「無理心中」と片付けられている。
5月にはレストランチェーンの共同創業者が、謎の拳銃自殺を遂げた。同月にはルクオイル幹部も心不全で死亡したが、死因はシャーマン(霊媒師)といわれる人物宅の地下室で、ヒキガエルの毒を服用したという異様さだった。
相次ぐ不審死に逃亡する実行犯
これだけ財閥関係者の不審死が続くのは、どう考えても異常な事態だ。新興財閥はウクライナ侵攻を非難する声が強く、莫大な資産を国外に流出させたり、自身や家族の国外逃避を図ったり、反ロシアの動きを強めていた。そのため諜報機関が反戦論を封じ込め、資産流出を防ぐ目的で殺害したとの指摘もある。
もう1つの「点と線」は、プーチン氏と新興財閥のつながりだ。プーチン氏は大統領に就任当初、対決姿勢を示していたが、政権が長期化するにつれて癒着を深めていった。
「巨万の富を築いたロシアの新興財閥は、石油やガス、金融などの事業が多く、これらは時の権力の後ろ盾がないと成り立たない。プーチン氏自身も財閥企業を通じて私腹を肥やし、宮殿のような邸宅のほか、国内外に巨額の隠し資産を持つといわれています」(ロシアウオッチャー)
8月19日には思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏の娘、ダリア・ドゥーギナ氏が自動車ごと爆殺された。「大ロシア復活」を唱えるドゥーギン氏は〝プーチンの頭脳〟とも呼ばれ、ウクライナ侵攻にも影響を与えたとされる。今回の爆破事件は、娘ではなく父のドゥーギン氏が標的だった可能性が高い。
ロシア連邦保安局(FSB)は同月22日、ダリア氏の殺害はウクライナ情報機関の犯行と主張し、実行犯はエストニアに逃亡したと発表した。
これに対して米国の報道筋は、「確実なことはクレムリンが嘘をついているということだ。このような殺人には、多くの動機が考えられるが、ウクライナによる攻撃はリストの一番下だ」とする西側諜報機関の見解を紹介し、ロシア側の発表に疑問を呈した。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、ロシア側が爆破事件を口実にして、ウクライナの首都キーウへの空爆や、北大西洋条約機構(NATO)加盟国との紛争開始を正当化しかねないと懸念を示している。
超強硬派が“プーチンの後継者”!?
ウクライナへの侵攻当初、プーチン氏は短期間でキーウを制圧し、勝利すると自信たっぷりだったが、今やすっかり風向きが変わった。英紙『デイリー・ミラー』は、プーチン政権の一部の高官らがパニックに陥り、「水面下で西側諸国に戦争終結を打診している」と報じた。これがプーチン氏の本心なのか、それともNATO陣営を混乱させる偽情報なのかは不明だが、同氏の混乱を示す情報が流れ、周辺で不審死が相次いでいることを見ても、クレムリンが決して一枚岩ではないことがうかがえる。
「プーチン氏が強権的な独裁者であることは事実だが、ロシア国内にはウクライナをもっと容赦なく攻撃すべきだという主張も根強い。プーチン政権内や諜報機関には超強硬派が存在しており、そうした勢力にとって、ウクライナ侵攻を戦争ではなく〝特別軍事作戦〟としているプーチン氏が弱腰に映っている」(前出・大手紙外信デスク)
プーチン氏の側近の中でも、ウクライナをネオナチと呼ぶニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記は超強硬派を代表する人物。息子のドミトリー・パトルシェフ農相は、「プーチンの後継者」との下馬評もある有力者だ。
また、ウクライナ南東部でロシアが占拠するザポリージャ原発に、砲撃が行われている背景にも超強硬派の影がちらつく。ウクライナによる攻撃だと主張しているロシアが、その「報復」として核攻撃に踏み切る可能性があるためだ。
ロシアのメドベージェフ前大統領は「核保有国(ロシア)を強制的に崩壊させることは、死を伴うチェスゲームであり、人類の終末の日だ」と、西側諸国に核戦争をちらつかせている。
常軌を逸した超強硬派が、ロシアには相当数いることを忘れてはならない。
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