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『M資金 欲望の地下資産』著者:藤原良~話題の1冊☆著者インタビュー

『M資金 欲望の地下資産』太田出版

『M資金 欲望の地下資産』太田出版 /1694円

藤原良(ふじわら・りょう)
週刊・月刊誌や各種webでアウトロー分野の記事を多数執筆。マンガ原作も手がける。「万物斉同」の精神で取材・執筆にあたる。

――そもそも〝M資金〟とは、どのようなものなのでしょうか?

藤原 旧日本軍の隠し財産で、主に第二次世界大戦中に日本軍が世界各地で金策して得た資産といわれています。頭文字の〝M〟には諸説がありますが、終戦後、マッカーサー元帥の下で経済科学局長を務めた、ウィリアム・フレデリック・マーカット少将のイニシャルが由来とされています。

――いまだにM資金詐欺が横行していると聞きます。どのようなケースがあるのでしょうか?

藤原 M資金は日本経済を裏から支えており、その使用権を持つ日本政府が経済活性化のために、非公式に各企業へ無利子無担保で融資するといわれています。今で言う、〝給付金〟みたいな感じでしょうか。有名なのは、東京千代田区のZビルディングに関する〝コロワイド事件〟です。詐欺師はM資金融資の担当官を勝手に名乗り、コロワイドの会長の前に現れました。会長にしてみれば、前々から探していた担当官に「ようやく会えた!」と思ったことでしょうね。

信じる人がいる以上なくならない

詐欺師にしてみれば、どれくらいの金を取るかは相手の懐次第です。コロワイドのケースでは、実に被害総額約31億円という莫大な額が詐欺師の手に渡ってしまいました。

――なぜ多くの人がだまされてしまうのでしょうか?

藤原 M資金詐欺の特徴として、そのターゲット、被害者となるのは、かなりの金持ちで社会的立場のある人というのが挙げられます。コロワイド事件で言えば、だまされたのはあくまでも会長だけ。社員がだまされたわけではありません。そもそも、金持ちで社会的立場が高い人は、日頃から株や不動産、選挙などにおいて、かなり早い段階で耳寄りな〝特別な情報〟を手に入れるケースがあります。そのため、ある日、目の前に、M資金の担当官(詐欺師)が現れても、「俺様だから、会えたー!」と勘違いしてしまうんです。

――今後もM資金詐欺は続いていくと思いますか?

藤原 続くと思います。詐欺の手法は、世間的に有名になってしまえば、用心されますから、最終的には下火になります。しかし、M資金の場合は、まずそもそもがオカルトチックというか、徳川埋蔵金伝説みたいなものですから、信じる人がいる以上、なくなることはないでしょうね。世間一般では、〝とんでもない話〟だとしても、会社社長など、特別な立場の人にとっては、〝自分の所にだけ来た特別な情報〟だと勘違いしてしまうのです。そんな部分も、M資金詐欺がなくならない理由でしょう。

(聞き手/程原ケン)

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