蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~国際ロマンス詐欺被害

最近、「国際ロマンス詐欺」の被害が増えているという。SNSやネットなどで突然、魅力的な外国人からメッセージが送られてくる。そこでメールのやりとりを始めると、向こうから好意を持っていることを伝えてきて恋愛感情を抱かせ、やがて何かのトラブルが起きたとの名目で多額の金銭を振り込ませたり、架空の投資話で釣るという手口だ。


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これまでは女性が狙われる場合が多かったが、最近は中高年男性の被害が急増していて、まさに『週刊実話』を読んでいる世代がターゲット。純情な恋心を弄ばれ、大事な老後の資金を騙し取られてしまうケースが増えているらしい。


こうした色恋を絡めた詐欺というのは、周囲から見たら一発で「それウソだよ」と分かるのに、当人だけは「いや、この人は違う」と騙されてしまうことが多い。もちろん、恋心を持った外国人女性なんて存在せず、バックに組織的な犯罪集団がいるだけなんだけどね。


インターネットを使って海外の口座に振り込みや送金がしやすくなったことも被害を広げている一因かもしれない。特殊詐欺の電話番号を弾くフィルターを応用して、海外口座に急に大金を振り込むときに自動的にストップするようなシステムを導入するなど、何らかの対策をしたほうがいい。


「国際ロマンス詐欺」なんていうと、いかにも新手の詐欺というイメージだけど、こういう架空の女性を使った手口は昔からあった。例えば「文通」。手紙をやりとりして恋焦がれるけど、実際に本人には会ったことがない、なんて話はよく聞く。

ファンレターのやり取りのみで!?

俺の先輩レスラーが、もうずっと付き合ってる人がいるって言うから、どんな人ですかと聞いたら「いや、手紙のやりとりだけ」と言われて驚いたことがある。ファンレターに返事を出したら、そこから文通が始まって、会ってはいないけどお互いに気持ちを確認したから「付き合ってる」ということらしい。詐欺ではなかったみたいだけど、そのファンの女性は本当に実在するのかなって思ったよ。

そもそもファンレターというのは、レスラー本人にまで届かなかったりする。事務所に届いた時点で、営業スタッフがイタズラ防止のためという名目で開封して、そこに可愛い女のコの写真が入っていたりしたら、そのスタッフが自分で連絡しちゃうんだよ(笑)。事務所や道場に訪ねてきたファンも「今度選手に会わせるから」とか言いながら連絡先を聞いて横取りしたりね。


ちゃんとプロレスラーまで辿りつくファンは、いわゆるグルーピーというやつで、巡業について回って、選手の宿泊先のホテルにまで押しかけるようなコたち。彼女たちの中にはプロレスラーなら誰でもよく、片っ端から手をつけて、その戦果を競い合うコもいた。


普段、タッグを組んでるレスラーの両方に手を出したコがいて、選手同士が「俺のファンに手を出すな」と揉めそうになったこともあったけど、これは女のコのマナー違反。せめてタッグチームは、どちらか1人にしておいてほしいよね。


なんにせよ、色恋が絡むとどんなに警戒していてもコロッと騙されてしまうのが人間の性。でも、基本的にオジサンは会ったこともない美人に惚れられることなんて絶対にないから、もしそんなメールが来たらすべて詐欺だと思っていいよ。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。