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『きさらぎ駅』『コトリバコ』『ダークウェブ』…異界へと誘う現代の怖い話

(画像)ViDI Studio / shutterstock

世の中には説明のできない存在や現象があり、それらは現時点で常識から逸脱していたりする。日本では神話の時代から、さまざまな怪異について語られ、その記録が残されてきたが、現代はネットが〝怖い話〟の宝庫と化している。代表的な事例を検証してみた!

インターネット上には数多くの怪談や心霊現象の噂がうず巻いている。日本最大級の掲示板『5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)』にはタイトルが付けられ語り継がれているオカルト話がいくつもあり、その中でも特に有名な『きさらぎ駅』や『コトリバコ』などは、これをモチーフとした映画まで製作されている。

きさらぎ駅は2004年、2ちゃんねるのオカルト板に投稿された実況形式の話で、「電車に乗っているうちに〝きさらぎ駅〟という知らない名前の無人駅に着いた」ところから始まり、そこはどうやら異界らしく、次々に起こる奇妙な出来事がリアルタイムで書き込みされたことが話題を呼んだ。

コトリバコは05年、同じく2ちゃんねるのオカルト板に匿名の投稿者によって発表されたもの。その内容は、乳幼児を生贄にして作られた最凶の呪物「コトリバコ」=「子取り箱」をめぐるストーリーで、コトリバコに近寄るだけで女子は内臓が千切れて死んでしまうという。

どちらの話もいまだにネット上で考察が続けられており、YouTubeにもまとめ動画が上げられているので、興味のある人は自己責任でご覧になっていただきたい。こうしたネット上の都市伝説的な話をデタラメだと断じるのは簡単だが、しかし必ずしもそうとは言い切れない。

例えばきさらぎ駅に関しては、同様の体験報告が数多く寄せられている。もちろん、それらも作り話である可能性はあるが、東海地方の某路線など一部に報告が集中していたりもする。そうした場所では本当に、何かしらの超常現象が起きているのかもしれない。

また、グーグルマップできさらぎ駅を検索すると、なぜか茨城県の筑波大学施設内にある池の上が示されるという謎の事象も起きている。筑波大学は科学研究が盛んなだけに、何かしら異世界の研究が行われているのではないかと推察する声もある(22年8月時点では検索すると同様地域が表示されるが、具体的なきさらぎ駅の表示はない)。

その地域で伝わる“奇習”

コトリバコについての具体的な証拠物は報告されていないが、これには日本各地に残る、地域独特の風習が深く関わっているという。禁足地というのは、その最たるものだろう。

ユネスコ世界文化遺産に指定されながら、いまだに女人禁制を守る福岡県の沖ノ島をはじめ、日本には現在も文化的、伝統的な理由から立ち入り禁止とされている場所がいくつもある。沖縄には一般公開されず、内容を他言してはならないという「秘祭」もある。

このような儀礼から他者を遠ざけるために、あえて「関わったら呪われる」などと伝承され、口づてやネットなどでその噂が広まった結果、コトリバコのような呪物の話に変化していったとも考えられるのだ。

だが、実際に呪いがあろうがなかろうが、いずれにせよ安易に関わるべきでないことは確かだ。地域に残る風習の中には、現在の常識ではとても受け入れられない「奇習」と言うべきものがある。

例えば「座敷牢」もその1つだ。医学の発達していなかった時代、精神に病をきたした家族を外部から遮断するため、家の中の牢に閉じ込めるということはよく行われていた。

他所からの患者を引き受けて、家族同様に看護していたという寺社や温泉施設もあるが、一部の地域では非人道的な行為が行われていたとする学術的な調査報告もある。

もし、いまだにそういうことが行われているとすれば、それに関わる人間は必死で事実を隠そうとするに違いない。そして、もしそこに部外者が近付いてしまったときには、これを隠そうとする人々から何をされるか分かったものではない。

霊的な意味の呪いではなくとも、そうした人為的な害は否定できないだけに、ネットで知ったからといって興味本位でオカルト話に飛びつくことは避けたほうが無難だろう。

ネットで手に入らないものはない

インターネットにはグーグルやヤフーなどで検索すれば出てくるページのほかに、検索にかからない闇のサイト『ダークウェブ』というものがある。

専用の特殊なブラウザをダウンロードして、それを使えばダークウェブを利用することができるが、これも安易に立ち入るべきではない。一部の政府機関は、ダークウェブを犯罪活動の〝安息所〟であるとの懸念を示しており、場合によっては心霊スポットの何倍も恐ろしい思いをすることになるだろう。

11年から13年にかけて、ダークウェブに『シルクロード』という名称のショッピングサイトが実在していた。こうした闇の通販サイトにおいては、暗号資産などを使って違法薬物や偽造の身分証明書、銃器などから人間そのものまで、ありとあらゆるものを買うことができるという。

もちろん、これらは非合法なもので、それを買ったとなれば罰せられることになる。シルクロードもアメリカFBI(連邦捜査局)の捜査により閉鎖され、創設者は逮捕されている。拷問や殺人、レイプなどの動画がそのまま見られるサイトもあるというから、グロテスクなものに耐性のない人はすぐに精神をやられてしまうだろう。

ダークウェブにおいては、怪談じみた話も伝えられている。

怖いもの見たさでダークウェブに入った佐々木(仮名)は、とあるサイトにアクセスした。しかし、真っ暗なままローディング画面のようなものが続いているだけで、何も動きがない。それでサイトから出ようとしたのだが、カーソルが反応せず、パソコンの電源を落とすこともできない。

そうしたまま10分近くたった頃、突然パソコン画面に映像が映し出された。それはまさに今、画面の前にいる佐々木自身の顔だった。映像の下部には《佐々木君。おまえのことはすべて見えている》とのメッセージが書かれていたという。

つまり、佐々木がサイトにアクセスしてから10分間で完全にハッキングされ、パソコンのウェブカメラを外部から操作して、佐々木の顔を映し出していたというわけだ。

“50キロの肉”を処理する方法とは!?

このようにダークウェブには、ハッカー並みのプログラミング技術を持ち、それを平気で悪用するような人間が山ほどいる。そんなところへお気楽に出向くのは、丸腰で戦場へ放り出されるようなものだ。

そうした闇サイトをいくつも見て回っていた人間が、《遊びならやめておけ》という警告メールを受けた。それを無視して闇サイト巡りを続けていると、あるときを境に、その人間自身が消息不明になってしまったという話もある。

ダークウェブに限らず、一般的なネットでも「検索してはいけない言葉」とされるものがある。

その多くは見るに堪えないもので、硫化水素で自殺して肌が緑色に変色した死体の画像や、メキシコで実際に行われた肉を削いだり、心臓をえぐったりする拷問の動画だ。一般メディアではとてもモザイクなしでは披露できないようなものが、ネットではいきなりヒットしたりする。なまじな心霊写真よりも、よほどホラー度合いは高い。

17年10月に発覚した座間9人殺害事件の犯人であるS死刑囚も、グロテスク画像サイトを運営していたのではないかと噂されていた。これはどうやら事実ではなかったようだが、大量殺人犯が手掛けたとしても不思議のない画像が、ネットの世界では出回っているのだ。

S死刑囚については、犯行に際して2ちゃんねるの雑談系掲示板に『【急募】50キロの肉を今日中に処理する方法』なるスレッドを立てていたのではないかとの話もある。

当該スレッドが立てられたのは17年8月のことで、その最初の書き込みは《事情があって50キロのお肉が手に入ったんやがどうすればええんやろ ワイはそこまで大食漢ではないし、早めに処理したい》というものだった。

他のユーザーからは《クーラーボックスに入れて保存しろ》《腐った肉のニオイ対策としては猫のトイレ用に使う砂がいい》とのアドバイスがあった。

50キロというのは、被害に遭った20歳前後の女性たちの体重のようでもあり、また、犯行現場となったアパートでは、実際に猫砂を敷いたクーラーボックスの中に被害者たちの遺体が詰め込まれていた。

本当にS死刑囚が、2ちゃんねるで質問したのかどうかは分からないが、こうした連中も平気で一般人の顔をして出入りしているかもしれない。ネット社会には、そんな危険性があることをあらためて肝に銘じておくべきであろう。

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