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JRA重賞『新潟記念』(GⅢ)映画評論家・秋本鉄次の“ざっくり”予想

(C)JRA
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またチグハグな予想をしてしまった…先週のキーンランドCである。「前走の葵Sが強い内容で、これまで10戦のうち7戦で馬券圏内を外していない安定感も心強いウインマーベル、対抗は函館・札幌4戦4勝の〝洋芝巧者〟ヴァトレニ」と記し、ともに馬券圏内を確保したというのに、肝心の1着ルメール大将の馬を買っていな~い!

文中には「外国人騎手といえば、JRA所属のルメールだが、今回乗るのは人気薄のヴェントヴォーチェ…う~む、さすがに買いづらいか。ルメール大将は、2017年にアッと驚く12番人気(しかも9歳馬!)のエポワスを1着に持ってきた例はあるのだが…」と怖々記したら、グェッ! の快勝である。6番人気、単勝1230円はルメール大将としてはかなりの人気薄ではないか。

振り返れば、ワールドオールスタージョッキーズ(WAJS)で来日した外国人騎手が乗る馬は全部ヒモに買ったのに、JRA所属のルメール大将だけノケ者にした私が愚か者でした。まあ、このところ〝大将〟と呼びながら、成績イマイチの彼をどこか揶揄するニュアンスも含めていたことは潔く認めたい。そんな私をあざ笑うかのように、今年の重賞2勝目を記録されてしまった。とはいえ彼の成績が冴えないこともまた事実。先週は2勝だけだし、リーディング争いでは福永にも抜かれて現在7位だもの。はてさて今週は?

密かに期待した来日騎手の紅一点コラリー・パコーが乗るマウンテンムスメは11着。平場のレースで人気薄馬を3着に持って来て万馬券を演出したが、そこまでは買えなかったなあ。でも、また来日してね。できれば今度は、お友達のミカエル・ミシェルと一緒にね、と媚を売っておこう(笑)。

というわけで〝地獄の〟夏競馬が今週で終わる。ぜひ〝有終の美〟を飾って、爽やかに秋競馬に臨みたいものだ。今週も日曜日はGⅢが2つ。小倉2歳は今村聖奈ミカッテヨンデイイが人馬ともに話題を呼んでいて、多少は惹かれるが(とはいえ、私の本命は松山ロンドンプラン)、やっぱり3歳上の新潟記念をチョイス。軸馬はあっさり決めた。実績十分の池添ヒートオンビート、〝強い3歳馬〟で唯一の出走となる松若フェーングロッテンの2騎。

“映画連想馬券”は北野武監督デビュー作を!

相手は鮫島駿サンレイポケット、津村カイザーバローズ、荻野極ディアマンミノル、三浦イクスプロージョンあたりか。田中勝エヒトは前走の七夕賞で穴をあけたが、今回は人気になる上、ハンデ3キロ増、新潟外回りと条件が厳しくなるので消し。岩田スカーフェイスは、映画名ホースだし、鞍上は贔屓だし、と狙いたいところだが、左回り実績ゼロの典型的な〝右利き〟と見て、泣く泣く切りたい。こちらも人馬ともに思い入れ少々アリの菅原明カラテも、距離400延長がネックのような気がするので蹴る。

さて〝映画連想馬券〟は、ヒートオンビートからビートたけしを連想し、彼の北野武名義の監督作からデビュー作『その男、凶暴につき』(89年)を選ぼう。麻薬密売にからみ自滅してゆくハミ出し中年刑事の姿を描くのだが、ストーリー展開以上に、場面場面の暴力描写が冴え渡る。殴る、小突く、ビンタを張るなどの小暴力の痛感が、やがてラストの大暴力となって噴出する。岸部一徳など善人顔(当時)をあえて悪役に使う配役の妙、シャブ中となる妹を撃ち殺す虚無性も意表を付く。公開当時、北野監督にインタビューしたのだが、「暴力というのは、問答無用の突発的なものでね。よく映画で、撃つ前、撃たれる前にあれこれ言い訳するシーンがあるけど、あんなのウソ臭くって」と語っていた。その暴力の突発性、痛感は近年の『アウトレイジ』シリーズまで貫かれている。それにしても、監督最新作となるはずの、すでに撮り終えた時代劇『首』は現在、もろもろのトラブルで暗礁に乗り上げ、公開が危ぶまれている、と聞く。今後どうなるのか、気になるところだ。

さて買い目は、軸⑤から①④⑧⑯⑱へ馬連&3連複。軸⑱から①④⑧⑯へ馬連&3連複。冒頭にも記したが、イイコトがほとんど無かった22年夏は、新潟記念とともにこれにて終了! 「秋は、秋本の秋」と自惚れて、巻き返しを図りたい。

秋本鉄次
映画評論家。〝飲む・打つ・観る〟〝映画は女優で観る〟をモットーに、娯楽映画、中でも金髪女優の評論にかけては業界随一。著書に『パツキン一筋50年 パツキンとカラダを目当てに映画を見続けた男』(キネマ旬報社)など。

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