(画像)Joseph Sohm/Shutterstock
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キーマンはゴジラ松井!? エンジェルス売却で大谷翔平に“ヤンキース移籍”密約か

100年に1人の二刀流スター、エンゼルス・大谷翔平の今後について、米メディアの報道では「今オフに大型契約を結びチーム残留説」と「トレード説」が入り混じっている。しかし、ヤンキースGM特別アドバイザーの松井秀喜氏と親しい球界関係者によると、エンゼルスは今オフ、大谷をヤンキースにトレードする方向に舵を切ったという。


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大谷の代理人ネズ・バレロ氏は、米最大のエージェンシー「CAAスポーツ」に所属し、同社は松井氏が契約するヤンキースも顧客にしている。8月2日が期限だった今季中のトレードでも、「ヒリヒリする9月を過ごしたい」という大谷の意向に沿って、実は両球団はトレード交渉を進め、一度は合意に達していた。


すんでのところで実現しなかったのは、大谷を二刀流で起用するには先発ローテーションを5人から6人に組み換え、指名打者(DH)の席を空ける必要があったからだという。


「メジャーでは選手個々と詳細な契約を結んでおり、途中で変更すれば巨額の違約金が発生する。エンゼルスにも日本企業のスポンサー問題が残るため、シーズン途中のトレードは難しい。しかし、大筋ではトレードに合意できており、法的な環境を整えた上で、半年遅らせて実行する。今回のエンゼルスの売却公表もその流れの中の1つ」(前出・松井氏と親しい球界関係者)

オーナーの抱える訴訟にも問題が

大谷移籍の旗振り役こそが、ゴジラ松井氏なのだ。ヤンキースのハル・スタインブレナー・オーナーに、「ショーヘイがニューヨークに来れば、ベーブ・ルースがレッドソックスからヤンキースに移籍した1920年以来の歴史的な出来事になる。あらゆる面でサポートする」と進言。自身が後見人になることで2017年に日本ハムからポスティングシステムでメジャーに移籍した際に大谷側が設定した「西海岸球団限定」を除外し、地域的な問題をクリアした。

ヤンキースには8月30日現在、50本塁打を放ちMVP候補のアーロン・ジャッジがおり、メジャーリーグ全体が大谷との共演を熱望。2002年12月に松井氏が入団会見を行った際、当時のマイケル・ブルームバーグ市長が同席したことで話題を呼んだが、今回は中間選挙の時期と重なるため、大統領クラスの歓迎準備も進められているという。


一方、現地時間23日に球団売却を検討すると発表されたエンゼルスだが、モレノ・オーナーが手放す背景には、贈収賄事件がある。2020年10月にエンゼルスがアナハイムスタジアムと周辺の土地をアナハイム市から総額3億2000万ドル(約439億円)で払い下げてもらうことで合意した際、モレノ氏が見返りとして市長に100万ドル(約1.3億円)を選挙資金として提供したことが今年5月に発覚。市議会の追及とFBIの捜査で市長は辞任、計画は無効になった。


モレノ氏はさまざまな訴訟を抱えていることから、速やかな球団売却を選択した。


「2003年にウォルト・ディズニー社から1億8400万ドル(約248億円=当時)で球団を買収し、資産価値は10倍以上の25億ドルに急騰しました。今季、大谷がベーブ・ルース以来、104年ぶりの同一シーズン2桁勝利、2桁本塁打の偉業を達成したことで、投資家らしく今こそ『売り時』と判断したのでしょう」(在米・記者)

上限額を超えてしまうが…

エンゼルスには大谷に対し、「今オフに大型契約を結びチーム残留」の選択肢もあるが、簡単ではない。契約の見直しでこの2年、大谷は850万ドル(約9.4億円)でプレーしてきた。入団時、メジャー最低保障額である約6000万円からは上がったものの、それでもまだまだ安すぎる。

「今オフは契約の見直しがあり、大谷は1年3500万ドル(約48億円)を要求すると報じられていて、来オフのFA権獲得後もチームに留めるには、総額5億ドル(686億円)の複数年契約が必要といわれている。その間に球団の売買契約が完了するのは物理的に無理で、どの道、調停となってトレードが浮上するはず。それなら、分厚い戦力を抱えるヤンキースにトレードして将来有望な若手数人と交換した方が手っ取り早いと。それに、大谷残留なら贅沢税の問題も浮上する。『放出したほうが球団を売却しやすい』と判断したのだろう」(スポーツ紙デスク)


「贅沢税」とは、球団格差を是正するため、年俸総額が課税対象額(22年は2億3000万ドル)を超過したチームに課せられるMLBによる税金だ。エンゼルスは年俸総額が約1億8000万ドルで、基準額の超過は免れていたが、2人の看板打者、M・トラウトとA・レンドンの年俸だけで7369万ドル。これに大谷の3500万ドルが加われば、ドジャースやメッツとともに課税対象となり、30億円程度を徴収される。


ヤンキースのスタインブレナー・オーナーは上限額を超えないチーム編成を心がけているといわれ、ここ最近は生え抜きの選手を育て大型補強を見送ってきたが、松井氏による「全面協力」の申し出で方向転換し、獲得の流れができたわけだ。


大谷を巡っては、花巻東高校時代に契約を誘われた同じカリフォルニア州のドジャース、そしてエンゼルス入団時の球団幹部でメッツGMに転身したビリー・エプラー氏も狙っているという。しかし、松井氏がフロント幹部としてサポートするヤンキースはどこより心強い。勝負ありか!?