
直撃インタビュー・プロレスラー永田裕志〜デビューから30年、新日本プロレス最前線で死闘を展開〜
――レスリングのエリートだった永田選手。プロレス界入りしたきっかけは?
永田裕志(以下、永田)「学生時代はオリンピック出場を目指して練習漬けの毎日。その後の人生プランとしては指導者として学校で後進を育てることになる。99%、自分はそういう道を歩むと考えていました。ところが22歳くらいのときに『一度しかない俺の人生、何か生きた証しを世に残さなくていいのか?』という疑問が頭の中でグルグル回り始めまして」
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――何か、きっかけが?
永田「レスリング専門誌の取材を受けたんです。『次世代のホープ』みたいな小さい扱いの記事だったけど、すごく自分の中で充実感があったんですよね。普通、オリンピックを目指すアマチュア選手にとっては成績がすべてじゃないですか。でも僕は競技者として数字を残すよりも、自分の生きざまを世に問いたいという気持ちのほうが強かったんですよ。そもそもなぜ僕がオリンピックを目指していたかというと、あの大舞台で見ている人に感動を与えたいから。プロレスに進んだのも、超満員の観客に向かって自分の存在をぶつけてみたかったんです」
――入団当初、道場で陣頭指揮を執っていたのは?
永田「現石川県知事の馳浩さんを筆頭に、佐々木健介さんとブラック・キャッツ。このトロイカ体制でした。特に佐々木さんは少しでもたるんでいる人を見つけると、厳しく正していて…」
――テレビ番組では優しいパパで知られていますけど、当時、佐々木さんの指導は厳しかったという話もよく伺います。
永田「のちに佐々木さんがWJプロレスから出戻りしてきたとき、選手の反発がすごかったんですよ。僕も佐々木さんに対しては『いいんだね、やっちゃって』と物騒なコメントをしましたしね。でも、あれは僕個人が感情的に佐々木さんに牙を剥いたというより、選手の総意を代弁して僕が衝突したんです。会社を代表しているつもりでした」
『インパクトを出す』長州さんの教え
――永田選手自身も入門当初は〝かわいがり〟を受けることがありましたか?永田「いや、僕は大丈夫でしたね。体育会系で鍛えられてたから、厳しい基礎練習にもついていけましたし。でも、橋本真也さんに怒られたことはあります。猪木会長が道場にやって来たとき、僕と中西学さんが外出していたんです。といっても、遊びに行ったわけじゃない。大学レスリング部への出稽古中だったんですけど、それも橋本さんからすると面白くないわけです」
――理不尽ですね(笑)。
永田「橋本さん、常に道場にいましたから。もっとも練習するために道場にいるというよりは、遊んでいる時間のほうが長いんですけど(笑)。橋本さんは、めちゃくちゃな悪ふざけばかりしていましたね。スズメをBB弾で撃ち、それを焼き鳥にして天山広吉選手に食わせたりとか…」
――アントニオ猪木さんや長州力さんの存在はどう映っていました?
永田「猪木会長はバリバリ国会議員をやっていたんですけど、それでも時間ができると道場で若手に混じってスパーリングするんです。コンディション作りも含め、本当にストイック。全員が尊敬していました。長州さんに関しては、僕、付き人をやっていた時期があるんですよ。そこで『プロとは何か?』ということを徹底して叩き込まれましてね。器用なプロレス技術なんていうのは二の次で、お客さんに殺気とか感情の爆発を届けることが大事なんだと強く主張するわけです。『インパクトを出すんだ』というのが口癖でした」
――95年にはUインターとの対抗戦で永田選手の存在に注目が集まりました。
永田「石澤常光さんと組んで、桜庭和志さん・金原弘光と闘った試合。その前哨戦として、長州さんとのタッグで安生洋二さん・中野龍雄さんと当たった試合。この2つはプロレスラー・永田裕志が出来上がるうえで欠かせなかったと思います。もともと僕はUインターに入りたかったくらいで、相手はすごく強い集団だと幻想が膨らんでいたんですね。ところが実際に肌を合わせてみると、自分の実力が十分すぎるほど通用することにビックリした。たしかにパンチやキックの打撃は向こうがすごいんでしょうけど、その前にレスリング力で組んで押さえ込んじゃえばなんとかなったので。これは大きな自信になりましたね。そこからファンやマスコミの僕を見る目も確実に変わりました」
無理して虚勢を張って…
――その後の永田選手はG1優勝を経て、IWGP王者として団体を牽引していきます。しかし、その頃からプロレス冬の時代を迎えることになりました。永田「前の世代のスター選手が新日本から一気に離れましたからね。当然、僕自身は三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本)よりも知名度的に劣っているという自覚はありました。『永田で大丈夫なのか?』という声も耳に入っていましたし。でも人材的に当時は僕以外にはいなかったのも事実なんです。ですから、コメントひとつとっても必要以上に自分を大きく見せようと虚勢を張っていましたよ。本当は自分が一番分かっているんです、俺はエースになる器じゃないのかもしれないって。でも、そんなこと口が裂けても言えない。だから無理してでも背伸びして自分を鼓舞したんです」
――時代は格闘技全盛期。永田選手もミルコ・クロコップ選手やエメリヤーエンコ・ヒョードル選手と対戦するも惨敗し、「プロレス凋落のA級戦犯」と叩かれるようになりました。
永田「猪木会長の立場やメンツもあったし、僕としては断れる状況ではなかったんですよ。ただ一方で僕としても『これはチャンスかも』という気持ちもあったんですよね。普通にプロレスをやっているだけでは、武藤さんを超えられないことは分かっていた。だとしたら武藤さんが絶対やらないようなことを自分はやるしかない。それが格闘技だったんです。今、思えば無謀だったと思う。でも当時はマスコミもファンも、プロレスと格闘技を同一線上で見ていましたから」
――藤田和之選手や安田忠夫選手など、格闘技に触れることでスターとなったプロレスラーもいました。
永田「だから周りの選手も『大丈夫。イケるよ!』って焚きつけてくるんです。当然、僕もやるからには勝つ気でいましたしね。でも負けたときの罵詈雑言や誹謗中傷は本当にすさまじかった。おかげさまで人間的にはだいぶタフになりました。今はSNSのバッシングでメンタルをやられちゃう選手もいるけど、そういうときは僕に相談してほしいくらい(笑)」
“怨念”と“葛藤”の表現
――新日本の低迷期は続きましたが、棚橋弘至選手や中邑真輔選手を中心にV字回復を成し遂げました。永田「棚橋や中邑が柱となった時代は、会社が危機感を持って一丸となっていたんですよ。親会社も代わりましたしね。だけど僕のときは会社の体制も脆弱で、まさしく孤軍奮闘状態。もちろん棚橋や中邑は本当に立派だったと思いますよ。でも、ある意味で彼らがうらやましいと感じる部分もありました」
――ある時期からは白目状態での関節技など、コミカルな面も積極的にアピールするようになりました。
永田「徳島で試合があったとき、おちゃらけて阿波踊りのポーズをした写真が東スポに大きく載ったんです。それが転機になった部分はありますね。ただ白目に関しては、決してコミカル路線というわけではないんですよ。あれは今までのバッシングや無理解に対する反発が表に出た形。怨念と葛藤の表現なんです」
――現状の新日本を、どうご覧になっていますか?
永田「あまり老害的なことは言いたくないんですけどね。でも、昔から道場に根付いていた新日本の正統的レスリングが懐かしいと感じることはあるかな。つまり相手と組みながら状態を探り、首を絞めたり手足を極めるスタイルですよね。今度の9月11日、地元・千葉県東金市で自主興行をやるんです。これは僕のデビュー30周年記念にもなっていて、気合は十分。流行りのプロレスとは少し違う、自分の理想とするファイトを全力で繰り広げますから。『週実』世代の方も、ぜひ注目していただければと思います!」
(文/小野田衛 撮影/渡辺秀之)
永田裕志(ながた ゆうじ) 1968年、千葉県東金市出身。日本体育大学レスリング部時代に全日本学生選手権、全日本大学グレコローマン選手権、全日本選手権で優勝。92年に新日本プロレスに入門し、2001年にG1 CLIMAX優勝、2002年には団体最高権威であるIWGPヘビー級王座に輝き、当時の歴代最多防衛記録V10を達成する。その後も新日本マットの最前線で常に存在感を示しながら、近年は他団体でも持ち前の突貫ファイトを展開している。身長183センチ、体重108キロ。
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