『令和の“応演歌”』義貴~師匠の教えを受け“生きざまや礼儀”を大切に(後編)
――前編では民謡の世界を一度離れ、20代で戻ったと話していました。民謡、演歌、歌謡の歌い手としてCDデビューした経緯は?
義貴 民謡の世界に戻ると、幸いなことに3年で民謡の全国大会10冠を獲得しました。これを機にある方から「素晴らしい民謡歴をお持ちですね。演歌や歌謡曲に興味はないですか? あなたのために書いた曲があるんです」と誘って頂いたんです。でも、幼い頃から民謡ばかり聞いていたため、演歌や歌謡曲をほとんど知らなかった。せっかくのお誘いでしたが、2回ほどお断りしました。会社員をしながら、民謡や演歌の歌手として活動できるのか分からなかったんです。それでも熱心に誘って頂き、2016年に『蝦夷地羽幌港』でCDデビューしました。
【関連】『令和の“応演歌”』義貴~民謡再挑戦で決心した『江差追分』日本一(前編) ほか
――CDデビューした当時は、まだ働きながらの歌手活動だったんですか?
義貴 三足のわらじを履いていましたね。歌手一本であれば、平日、祝日の関係なく営業活動できますが、会社員の私は土日しか活動できない。また、演歌だけでなく民謡も続けていました。デビューから約2年経った頃、ここで本腰を入れて歌手活動しようと会社を退職したんです。以前からNHKのテレビやラジオの民謡番組に出演させて頂いておりました。また、『江差追分』のブラジル支部創立30周年イベントに男性日本代表の歌い手として呼んで頂きました。
日頃の感謝の気持ちを伝える大切さ
――現在は演歌歌手の伊南喜仁さんがお師匠さんですね。きっかけは?義貴 歌手一本になった前年、2枚目シングル『北の一番船』のレコーディングに、伊南師匠と、民謡歌手だった祖母に東京でお世話になったという演歌・民謡歌手の山本謙司さんに立ち会って頂いたんです。それが出会ったきっかけですね。伊南師匠からは、歌だけでなく『人様(他人様)のために何ができるか、人としての姿勢や生きざま、礼儀』まで大切なこともご指導頂いています。コロナ禍になり、初の外出自粛が要請された期間、師匠からの教え通り、お世話になっている方々や連絡が途絶えてしまった方々に電話を掛け、改めて日頃の感謝の気持ちを伝えさせて頂きました。
――コロナ禍で他に取り組んだことはありますか?
義貴 第1波と第2波の間から、懐メロ等のレパートリーを増やし、YouTubeなどネット配信しています。そうした懐メロや演歌、歌謡曲が収録されたアルバム『明日に向かって翔べ 義貴記念アルバム』をリリースしました。
――今後、どういった活動に力を入れていきたいと考えていますか?
義貴 民謡界もさることながら伝統文化の世界も、昔に比べ愛好家の方々が減っているのが現状です。それでも各分野で継承されている方がいる。各分野の垣根を越えて、楽しいステージや場所を作りたいと考えています。そうしたステージの第一歩が今年11月に北海道の各地を回り開催する『明日に向かって翔べ 義貴5周年記念』というイベントです。
当日は子供から年配の方まで、お客さんも出演者も楽しめるイベントにする予定です。また、慰問もコロナ前より積極的に行っていますが、将来的には以前よりも力を入れていきたいと考えています。自分がどれだけ人助けができるかを常々思っています。
義貴(よしき) 3月26日生まれ、北海道小樽市出身。1996年〜2014年、北海道三大民謡の全国大会日本一10冠達成。2016年、『蝦夷地羽幌港』でCD全国デビュー。現在はテレビやラジオなどに出演。
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