社会

絶対にまねしてはいけない“超冷酷”経営?「ゼネラル・エレクトリック」事業分社化

(画像)OleksSH / Shutterstock.com

米国のゼネラル・エレクトリック(GE)は7月18日、同社の事業を分社化後の3社の社名を発表した。医療機器事業は『GEヘルスケア』、エネルギー事業は『GEベルノバ(Vernova)』、航空事業は『GEエアロスペース』となる。

GEと聞いてピンとくる日本人はあまり多くはないかもしれないが、実は〝発明王〟トーマス・エジソンが興した老舗企業。21世紀の初頭には時価総額5000億ドル(当時約59兆円)を誇り、一大コングロマリット(複合企業)として世界の経済界に君臨していた。

当時は「米国政府と同等の信頼を持つ」ともいわれた企業が、たった20年余りで分社化という転落ぶりには驚きだが、実は多くの日本企業においても対岸の火事ではない。

「特に影響を残しているのが、かつてGEで最高経営責任者(CEO)を務めたジャック・ウェルチ氏の経営手法です」(経済評論家)

日本に求められるのは長期的な視点

ウェルチ氏は大胆な整理解雇とM&A(企業買収)で、1980年代にGEを急成長させた。しかし、成績不振の従業員を解雇したり、時には部門を丸ごと削減したりするなど、無慈悲な経営手法は長期的に見ると組織の疲弊や崩壊を招いたとして、現在の米国では否定的に捉えられている。

「問題は、ウェルチ氏の超冷酷な手法を手本とした日本企業の経営者が多く、いまだに主軸を担っていることです。不採算となった伝統的な事業に見切りを付け、中国や韓国の企業へ売り渡した結果、逆に自分の首を絞めてしまった経営者は数知れません」(同)

日本の経営者には目先ではなく長期的な視点、つまり従業員第一の経営をすることが求められている。極端に言えば、それが1日でも早く景気低迷から脱する近道でもある。

ウェルチ氏の手法に惑わされ、極端な成果主義やリストラ礼賛に染まっている日本の経営者は、早々に目を覚ましていただきたい。

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