NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』が、8月26日の放送で第100回を迎えた。ヒロイン・暢子(黒島結菜)の元同僚・矢作知洋(井之脇海)の再生物語に「神回」の声が上がっている。
同作は、1964年、まだアメリカ統治下だった沖縄の「やんばる地域」を舞台に、主人公・比嘉暢子(黒島結菜)がふるさとから料理人を目指すストーリー。現在は、東京・銀座のイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」で約7年の修業を終え、自身の沖縄料理の店「ちむどんどん」のオープンを控えている。
暢子は自身の店を任せられる料理人として、元同僚・矢作に目星をつける。しかし矢作といえば、かつてフォンターナの権利書を盗んで裏家業からお金を借り、独立したものの失敗。妻とは離婚する寸前で、お金もなく食い逃げをするほど落ちぶれていた。
そこで暢子は矢作を連れて「フォンターナ」へ。矢作は、オーナー・大城房子(原田美枝子)に土下座をして謝罪し、妻とともに再起を誓う。矢作が持ち歩いていた包丁は、きちんと研ぎ澄まされており、料理だけは諦めきれなかった様子が見て取れる。
翌日、暢子は矢作に対し、「ちょうど今、パパイヤイリチー(青パパイヤの炒め物)を作っていて。ちょっと手伝ってもらえませんか?」とお願い。矢作は、まず包丁を水に濡らした後、青パパイヤのスライスを手に取り、包丁をあててゆっくりと千切りを始める。サクッサクッと切るうち、だんだんと溢れる涙。再び料理ができることへの得も言われぬ喜びを感じ、ふっと笑顔がこぼれるのだった。
もう矢作がヒロインでいいかも…
「沖縄と料理がテーマの同作ですが、暢子にとっての料理といえば、誰かを喜ばせるためのツール。かつては結婚に反対する夫の母親に対して〝お弁当差し入れ攻撃〟を仕掛けて誠意をアピールしたり、披露宴で沖縄料理を提供したりと、誰かの『おいしい』を原動力にしている印象を受けます。矢作のように料理が好きで好きで仕方ない、諦めたくても諦められないといった情熱は、残念ながらさほど感じられません」(ドラマ誌ライター)
これまでシンプルな悪役に徹してきた矢作の真骨頂ともいえるシーンに対し、視聴者からは、
《今日は本当に矢作神回じゃん…井之脇海さん素敵》
《矢作が包丁でパパイヤを刻むシーンはあって、ヒロインにはない不思議》
《願わくば朝ドラヒロインにこの料理シーンを演じてほしかった。というかもう矢作がヒロインでいいかもしれない》
《制作陣の意図がよく分からん…暢子どこいった?》
《どうやら今回は神回だったようだ、涙がとまらんもん》
《青パパイヤを切る包丁の感触に、料理する喜び、料理への情熱、家族への思い、感謝、後悔、万感こみあげてきて涙が溢れる…ってやつをこのドラマで初めて見て感動したわ。見せてくれたのはヒロインじゃなくて矢作だったけどな》
などと〝絶賛〟する声が多く上がっている。
それにしても、ヒロインではない役に〝神回〟を任せるとは、つくづく不思議なドラマだ。
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