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『ゴルゴ13』 やはり宗教ネタには自主規制が…哀しき“封印漫画”の世界

『ゴルゴ13』1968-連載中 さいとう・たかを/小学館

デューク東郷がパーフェクトすぎるだけに、時代や流行に全く動じない不動の名作ではあるのだが、その職業柄、国際情勢の扱いにはかなりナーバスにならざるを得ない。というより、そこがストーリーの重要なバックボーンで、過去には冷戦の終結で連載終了説が囁かれたほど。

政治や民族紛争、テロなど、デューク東郷に仕事を依頼する組織は国家から民間レベルまで多岐にわたり、その陰謀の渦中で活躍するからには、やはり中には公表できない国家機密級のエピソードもある。

封印された原因がハッキリしない話も…

封印されたエピソードはいくつか存在するが、第237話『幻の栽培』は、泥沼化するイラン・イラク戦争で、互いの都市をミサイルで攻撃し合う状況の中で発表された。イスラム教最高指導者のホメイニ師が偽物にすり替わっているという物語で、その後、イスラム教を批判した小説『悪魔の詩』で殺人事件が起きたこともあり、単行本収録が見送られている。

第266話『バチカン・セット』が封印された原因はハッキリしない。バチカン上層部の腐敗を描いた内容で、神をも恐れぬ生臭司祭がシスターを体で操り、スイス銀行の口座をハックして出世を目論む物語。世の陰謀論者的には「アリ」な話ではあるのだが、さすがに法王の目前で生臭坊主がヒットされる場面は衝撃的かもしれない。

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