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『バランサー』 タイトルと内容を突然変更…哀しき“封印漫画”の世界

『バランサー』1985-1986 新谷かおる/小学館

前半と後半は全く別の漫画である。タイトルが『バランサー』となったのは第3話からで、それまでは『JAP ジャップ』というタイトルだった。

闇の世界に生きる傭兵・南郷兵衛。コードネームJ(ジェイ)と呼ばれる男。Jが所属する秘密組織は大佐(カーネル)という男が統括している。任務は特別な場合を除いて非合法。それゆえに作戦内容は、時により社会一般でいう正義ではない場合もある。任務内容によって登録簿から最適な人材が選ばれる。物語の中で、Jは傭兵部隊唯一の日本人だがリーダー格であり、あらゆる戦略のエキスパートとして描かれ、その経歴は謎に包まれている。

いきなり忍者アクションマンガに…

『週刊少年サンデー』1985年10月9日号(第46号)に掲載された第3話から、タイトルが『バランサー』に変更される。告知文によると、変更した理由は、この言葉の持つ日本人蔑視と歴史的な使われ方を考慮した結果であるという。

タイトルの変更に伴って内容は大きく変わり、突然Jが爆死してしまうと、いきなり忍者アクションマンガに路線変更。もともとは考え抜かれた含みのあるタイトルであったはずなのだが、その試みは改題した時点で意味を失った。

ともあれ、その後、うっちゃることなく内容を変更してまで連載を続けたのは、逆に偉い!

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