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『ハレンチ学園』 PTAの猛抗議にペンで対抗…哀しき“封印漫画”の世界

『ハレンチ学園』1968-1972 永井豪/集英社

学園エロギャグ漫画のはしりで、世の良識派が「スカートめくりを流行させた元凶」というムチャクチャな嫌疑をかけて激しく糾弾した。連載当時、まだ漫画という媒体に世間は否定的で、良識派たちはその中でも特に目立っていた『ハレンチ学園』を格好の標的にしたのである。

当然、その抗議内容はあまりに強硬かつ一方的なもので、『少年ジャンプ』の発売そのものの禁止を求める意見に作者の永井氏も反発、担当編集者も同調し、内容はさらに過激化。全国各地の校長会やPTA、婦人会などが「18歳未満は『ハレンチ学園』を読むな」という声明を出すなど、大々的な反対運動が広がっていった。

クレームに作中で応じた珍しいパターン

そんな最中、永井氏は漫画家なりの〝反論〟を展開する。作品中にハレンチな学校を許さない「大日本教育センター」なる軍団が突然登場、漫画のキャラクターたちは徹底抗戦の末、全滅してしまうという形で連載を終わらせてしまったのである。

驚きの展開だが、このラストに最も驚いたのは『ジャンプ』編集部だった。超人気漫画を終わらせたくない編集部は永井氏に懇願、苦肉の策としてこの物語を〝第1部最終回〟として、第2部を予告する永井氏のコメントを掲載した。

こうして『ハレンチ学園』はこの後も2部、3部と続いた。クレームに作中で応じた珍しいパターンである。

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