『食尽族〜読んで味わうグルメコラム集〜』リットーミュージック /1650円
『食尽族〜読んで味わうグルメコラム集〜』リットーミュージック /1650円

『食尽族〜読んで味わうグルメコラム集〜』著者:掟ポルシェ~話題の1冊☆著者インタビュー

掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ) 1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』のボーカル&説教担当としてデビュー。音楽活動のほかに男の曲がった価値観を力業で文章化したコラムも執筆。2018年に発売した著書『男の! ヤバすぎバイト列伝』は5刷重版の大ヒットとなる。
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――「食」にはかなりのこだわりがあるという掟ポルシェさんですが、〝甘じょっぱい〟のは大の苦手だとか。


掟 料理の世界は日進月歩で、味のバッケンレコードが日々更新されています。そんな中、〝甘じょっぱい〟という味付けはとんでもなく古くて、自分にとっては退屈でしかない。〝料理のサシスセソ〟の組み合わせは、もう勘弁してほしいのです。あとは、九州一帯を支配する〝甘いしょうゆ〟がとにかく苦手。嫁の実家があったため、6年間ほど福岡に住んでいたのですが、しょうゆが甘いのだけは本当に地獄でした。甘いしょうゆで、すしなんか食った日にゃあ、魚の味が死ぬ。すしは江戸前。思い出しただけでも腹が立つ。


――オススメの店はありますか?


掟 五反田「かれーの店 うどん」の『季節のかれー』。ここで冬に提供されている牡蠣の入ったスープカレー『冬の夜かれー』は、死ぬ前日に絶対食べたいので春夏秋には俺は死ねない。他にもいろいろありますが、本書を読んでみてください。

トラウマ級にまずい給食

――逆に、記憶に残る〝ゲロマズ〟飯はありますか?

掟 最古の記憶では、小中学校の給食ですね。昔からよく「親と給食センターは選べない」と申しますが、昭和50〜59年ごろに出されていたあの凶悪ゲロマズ給食の数々は、今思い出しても涙とへどが止まりません。そのおかげか子供の頃は結構痩せていました(笑)。当時、叔父さんが小学校の校長をしていたのですが、俺と兄貴に向かって突然「おまえら、かわいそうだな」と。「えっ、何が?」と聞き返すと「俺、北海道の学校いろいろ回ってきたけどな、おまえんとこの給食、一番まずいぞ」と断言。叔父としてもわざわざ俺たちに伝えたいほどまずかったんでしょう。結局、中3までの9年間、逃げ場のないマズメシ給食にみっちり苦しめられました。マジでトラウマ。


――「食べログ」が大好きだそうですね。使い方を教えて下さい。


掟 「食べログ」は自分とは真逆の嗜好を持つ方も多く、理解して使う必要がある。一応ランキングの上位の方から見ていくが、そこで見るべきは写真です。自分の好みかどうかは写真を見れば十中八九当てられる。特にすし屋などは、ネタの切り方だけでおいしいかどうか分かります。あとは自分と似たような好みのレビュワーを参照すれば、まず大きなハズレを引くようなことはないでしょう。本書は、うまいものへのこれでもかというぐらいの賛辞の花束と、ゲロマズ飯へのトゥーマッチな呪詛が詰まった非常に下品な内容なので、きっと誰かに怒られると思います。


(聞き手/程原ケン)