前頭2枚目の逸ノ城が初優勝した大相撲名古屋場所。最大の〝番狂わせ〟の要因は、途中からコロナに感染する力士がうなぎ上りに増えたことだろう。その数、場所前の田子ノ浦部屋を含めると13部屋、174人。全力士の3割が感染、あるいは濃厚接触者と認定されて、休場を強いられたのだ。
「おかげで取組は穴だらけ。13日目には、幕内の18番の取組中、4割近い7番が不戦となり、館内観客からブーイングが巻き起こりました」(大相撲担当記者)
いつ自分が感染するか分からないため、力士たちは戦々恐々。中には、新入幕の錦富士のように、千秋楽に「最後の一番に勝ったら受賞」と条件付きで敢闘賞候補に挙がったものの、出番直前に対戦相手の北勝富士のコロナ感染が判明したため、不戦勝で受賞。
「錦富士は〝運も実力のうち、といいますから〟と小躍りしていましたよ」(同)
誰も責められない…
そんな力士たちが、最も気に病んでいるのが、来場所の番付。コロナ禍で休場した力士は関取だけで23人。その扱いによっては、元気に千秋楽まで務めた力士たちにも影響してくるからだ。
注目の秋場所の番付を決める番付編成会議は7月27日、両国国技館内で開かれた。これまでは場所前に感染が判明することがほとんどで、全休した場合、据え置きか、1枚程度の降格の措置が取られたが、今回は場所の途中で、すでに勝ち越したり、負け越している力士もおり、なかなか一様には扱えない。
「当然、会議は紛糾した。このことは、6時間という超ロングランになったことでも分かる。会議終了後、電話取材に応じた伊勢ケ濱審判部長(元横綱旭富士)は『番付発表前には明かせないけど、公平にやった。ベースは今までと同じ』と言葉少なだった。どうやら、2勝4敗で7日目に休場した大関かど番の御嶽海は据え置かれたようです。でも、7勝4敗の琴ノ若や6勝3敗の一山本らは、据え置かれたら泣くに泣けないでしょうね。不平、不満がいっぱい出てくるのは避けられない」(協会関係者)
8月29日の番付発表で、ひと波乱起こりそうだ。
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