バカ売れ!「猛暑対策グッズ」〜企業経済深層レポート
連日35℃超えの猛暑日続きの中、「猛暑対策グッズ」が売れに売れているという。量販店関係者が解説する。
「一時的に品切れになるほど大ヒットしているのがネッククーラーです。首に巻くだけでクールダウンできる優れもの。商品に使用されているのは、宇宙飛行士を急激な温度変化から守るために開発された特殊素材。28℃を下回ると自然凍結し、涼しさは約90分程度持続します」
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保冷材や氷のようなキンキンの冷たさではなく、程よいひんやり感が持続する。結露しないため衣服も濡れず、オシャレな若者にも人気だという。
「バッテリー要らずのネッククーラーは150グラム前後で重さも気になりません。女性やスポーツマン、炎天下で働く人にも受けています」(同)
中の素材は溶けると液体に戻るが、冷凍庫や氷水の中で10〜20分程度冷やすだけで再び凍結する。充電式のネッククーラーのように電池残量を気にすることなく、何度でも使用できる。何より、売り上げを後押ししているのが価格だという。
「安いものでは1000円前後、高くても2000円台で購入できます。手軽に猛暑を乗り切れるグッズと好評です」(同)
各業種や多方面で活躍する
一方、「着るエアコン」としてサラリーマンなどに人気となっているのが『レオンポケット3』。ソニー(東京)から発売された充電式の冷温デバイス(IT機器)だ。家電量販店関係者が言う。「2020年に一般販売を始めたレオンシリーズに、改良に改良を重ねたのがレオンポケット3です。襟首の下あたりに装着する『身に着けるエアコン』です。大きさは手のひらサイズで、パソコンのマウス程度。重さは90グラム前後と軽く、シャツの下に取り付けても違和感はなく、ビジネスシーンでも重宝されています。しかも冬になれば暖房スイッチに変えてウォーム機器としても使用できます」
価格は1万5000円前後(専用ネックバンドは別売)とやや高めだが、殺人的猛暑を乗り切るには、決して高い買い物ではないだろう。
そして今や真夏の工事現場や農作業に欠かせない存在となっているのが「空調服」である。ファンを回して大量の風を内部に送り込み、暑さを和らげる衣料品だ。
近年は市場規模も150億円前後をうかがうなど売り上げが急増している。というのも、多くのメーカーが「空調服」分野に進出して競い合っているのだ。
作業服からカジュアル衣料まで拡大したワークマン(伊勢崎市)や、ホームセンターのコメリ(新潟市)、アイリスオーヤマ(仙台市)など大手も続々と参入している。
空調服を選ぶ際のポイントについて、衣料品メーカー関係者が指摘する。
「衣類に取り付けたファンがいかに長時間大きな風量をもたらしてくれるか。涼しさを求めて着る空調ウエアですから、やはり風が強ければ涼しい。強風といえば、広島県のバートルや岡山県の桑和という衣料メーカーの空調ウエアが注目です。バートルは17V(ボルト)、桑和は18Vの業界トップクラスの高出力バッテリーを採用。一般的な空調服のバッテリーは7V前後で、それでも十分涼しい。それが倍以上の出力で圧倒されます」
今後はバッテリーの軽量化など、さらに改良が進めば利用者増は必至だ。
現在も開発が進む業界
ほかにも体の気化熱を利用して体を冷やす衣料品開発も活発だ。スポーツメーカー関係者が言う。「日本最大級のディスカウントショップとして知られるドン・キホーテ(東京)は、自社展開するスポーツブランドで酷暑対策に乗り出しました。キャッチフレーズは『クーラーのような冷感ウエア』です。UVカット機能を施しただけでなく、外気温を内部に伝えない特殊な遮熱糸を使用し、衣服内温度の上昇を大幅に抑制しています」
冷感ウエアはTシャツなど5種類を販売し、半袖Tシャツ1590円(本体価格)からと価格も手頃だ。
本家のスポーツメーカーの新商品も見逃せない。スポーツウエアメーカーのデサント(大阪)が電機メーカー、シャープ(同)と開発した手のひらに装着するグローブタイプの冷却グッズ『コアクーラー』だ。医療関係者が言う。
「手のひらには体温を調節する血管があり、ここを12℃前後で冷却すれば体の中心部の体温を下げ、暑熱対策に役立つ。プロ・アマ問わず、多くのランナーがこの冷却グローブを使っています」
一風変わった暑さ対策グッズには、扇風機を搭載した折り畳み傘がある。衣料小物販売経営者が言う。
「傘の内側中央部に羽のファンがあり、傘を開いた状態で持ち手部分の電源ボタンを押すと、ファンが回転して風を送る仕組みです。晴雨兼用で使えて、価格は3000円から5000円前後になっています」
ウクライナ情勢なども絡み、日本の電力事情も不安定となりつつある昨今、我々庶民は知恵と工夫で、この異常酷暑を乗り切るしかない。
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