7月15日の登板で日米通算180勝目を挙げたサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有。2年連続三度目の開幕投手でスタートした今シーズンは、前半戦で17試合に登板して8勝4敗という好成績を残し、圧倒的な存在感を発揮している。
2020年、ナショナル・リーグ最多勝に輝いたダルビッシュ有(当時はシカゴ・カブス)。サイ・ヤング賞(記者投票によりメジャーリーグの年間最優秀投手に贈られる賞)候補になったのはこの年が三度目で、そのうち二度が惜しくも次点だった。
同賞に複数回ノミネートされた日本人投手は過去に野茂英雄(2回)しかおらず、その野茂もトップ3に入る票を得たことはない。すなわち、ダルビッシュはこれまでメジャーに挑戦した日本人投手の中で、最高と言うべき存在なのである。
では日本において、それにふさわしいだけの報道がなされているかというと、必ずしもそうではない。今年、ダルビッシュに関してのニュースは、ツイッターで日本球界に言及したことや妻・聖子さんの妊娠などがほとんど。肝心の野球選手としての活躍ぶりについては、スポーツ専門メディアでもトップに来るのは大谷翔平ばかりで、ダルビッシュはその陰に隠れてしまっている。
だが、それはあくまでも大谷だけで手いっぱいで、ダルビッシュにまでかける人手や取材費がないという、メディア側の事情にすぎない。報道量が少ないからといって、決してダルビッシュは「ツイッター発信だけの人」ではないのだ。
言われずとも道筋は決まっている
そして、ツイッターなどSNSに関しては、時に一般人ともレスバトルを繰り広げるダルビッシュの姿勢を疑問視する声が、日米ともにあるようだ。しかし、これについてはきちんと野球で結果を出している以上、他人がとやかく言うことではないだろう。
ただし、発信する量が増えれば誤解されることも多くなり、実際に誹謗中傷の類いも見受けられる。
2019年11月、シーズンオフでSNS三昧だったダルビッシュに、次のツイートが寄せられた。
「YouTubeに、広告をつけて、稼いだ広告費は貧しい子供に野球道具をプレゼントみたいな形にしてみてはどうですか?」
これに対するダルビッシュの返信は次の通り。
「人の稼いだお金をこうしろとか他人言うもんじゃないねん。みんな人生削ってお金稼いどんねん。人に言う前にまずお前ができることをやれ。できへんねやったら尚更他人に言うな。俺のYouTubeの道筋はもう決まってるねん。エンディングはすぐそこだ」
なかなか激しい口調で、言われたほうはさぞ驚いたことだろう。東北高校から北海道日本ハムを経てメジャー入りという経歴から、ダルビッシュが大阪出身の大阪弁使いだということを、知らない人もいたかもしれない。
ただし、ダルビッシュはその後、前言に補足説明をしている。
「これ全然煽ったつもりちゃうねん。最後の2行(俺のYouTubeの道筋はもう決まってるねん。エンディングはすぐそこだ)に注目して欲しかっただけやねん」
所縁あるところへ支援の寄付
それから半年後の20年4月、ダルビッシュは自身のYouTubeチャンネルで、動画収益の470万9892円を国立がん研究センターと母子家庭を支援するNPO法人『リトルワンズ』に半額ずつ寄付したことを公表した。
なぜ「がん」と「母子家庭」かというと、そこには18年9月18日に亡くなった聖子さんの兄、ダルビッシュにとっては義兄に当たる山本KID徳郁を追悼する意味があった。
そもそもYouTubeに動画をアップするようになったのは、この寄付をするためだったとも語っている。つまり、視聴者と一緒に寄付をすることが、先のツイートにあった「エンディング」の意味だったわけだ。
実はこの件に限らず、ダルビッシュはこれまでにさまざまな場面で寄付を行ってきた。金額の大きなもので言えば東日本大震災の義援金で、日本赤十字社を通じて5000万円を寄付。18年の北海道胆振東部地震でも古巣の日本ハムに1000万円を寄託している。
08年からは「子どもの福祉に役立ててほしい」との希望で、生まれ育った大阪府羽曳野市に対して、1勝するたび10万円の寄付を行っている。同市は「ダルビッシュ有子ども福祉基金」を設立して、児童養護施設の退所者を対象に、これまで5人へ返済不要の奨学金を支給しているという。
さらに、この基金にはYouTubeのゲーム配信で行っている通信対戦についても、1勝するたびに1万円の寄付をしているそうだ。ほかにも、ここでは書ききれないほど多岐にわたり寄付を行っているが、推定23億円ともいわれる年俸からすれば、大した額ではないと思う人もいるだろう。
しかし、ダルビッシュの場合、生まれ故郷や縁者など自分自身と関わりのあることを中心に寄付しているあたりに、売名などとは一切縁のない、ある種の誠実さが感じられる。《文・脇本深八》
ダルビッシュ有
PROFILE●1986年8月16日生まれ。大阪府出身。2004年にドラフト1位で北海道日本ハムに入団。07年から11年まで5年連続で防御率1点台を記録。11年オフにメジャー挑戦を表明し、レンジャーズと契約した。
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