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日本全国☆釣り行脚~『ヒラツメガニ』~千葉県白子町/九十九里浜産

ヒラツメガニ釣り
ヒラツメガニ釣り (C)週刊実話Web

早いもので今年も残すところ僅かとなりました。

さて、年末年始を迎えるニッポンのご馳走といえば、やはりカニでしょう。市場や鮮魚店にタラバやズワイ、ケガニがズラリと並ぶ光景などは、いやが上にも年末ムードが盛り上がるというものです。

ただ…、万年不況のワタクシにとってタラバやズワイは手の届かない超高級品ですから、毎年、どこかの海辺でカニ釣りに勤しんで、自給自足をするのが年の瀬の恒例となっております。

ということで、今年は千葉県の九十九里浜にやってまいりました。狙いはワタリガニの仲間で、外洋に面した砂浜海岸に生息するヒラツメガニというヤツです。タラバやズワイと比べるとだいぶ見劣りしますが、ワタリガニ科だけあって味は抜群。しかも当たれば数が望めるので、嫌というほどカニにありつけます。あくまでも〝当たれば〟ですが…。

今回は、ほぼ釣り未経験で、当連載で潮干狩りをやる度に、「貝はやめて下さい!」と極太の釘を打ち込んで下さる当連載の担当編集さん(妙齢の♀)が同行してくれました。現地で合流して海辺に出てみると、広大な砂浜には同じくカニ釣りと思しき人影がチラホラ。地元師がいるということは、それなりに釣果が上がっているのでしょう。

離岸流で大量のカニをゲット!

さっそく準備に取り掛かります。カニ釣りのやり方は、〝カニ網〟と呼ばれるモシャモシャのナイロン網に直接エサを縛り付け、波打ち際から網を軽く投入。あとは網に結んでおいた糸を流れに任せて出しながら待つだけ。実に簡単です。

こういった外洋に面した砂浜では、打ち寄せた波が1カ所に集まって沖に流れ出す離岸流が発生します。離岸流は一度ハマってしまうと、いくら岸に向かって泳いでも沖に流されてしまうほどの強い流れで、この離岸流に網を乗せて沖に運んでやれば好釣果が期待できる、というワケです。

ヒラツメガニ釣り
ヒラツメガニ釣り (C)週刊実話Web

しばらく待って、かなり糸が出た(網が沖まで運ばれた)頃合いで巻き上げに入ると、なかなかの重量感ではないですか。やがて波打ち際に現れた網には、結構な数のカニの姿が…。同行者の網にも数ハイが掛かっており、今日は大漁間違いなしのようです。

「ヒャ~、気持ち悪ぅ~!」

釣り初心者の同行者はもちろんカニ釣りも初めて。見慣れない容姿のカニを気味悪がっています。特に虫のようにワラワラと動く脚の動きは耐え難いようで…。

ヒラツメガニ
ヒラツメガニ (C)週刊実話Web

「カニが掛かってないほうが嬉しいですぅ…」

そう言いながら嫌々に巻き上げる網には必ず数ハイのカニ…。こんな時に限って大漁とは、つくづく釣りは思うようにいかないものですな。

「アタリや引きを感じることなく、ひたすら重いだけ」

「蠢くカニが気色悪い」

数時間の実釣で発せられた感想は単なる労働、いや罰ゲームを終えたあとのような内容ばかり。大漁だったんですけどねぇ…。

「今度はちゃんとした魚釣りのときに呼んでください」

というお言葉にうつむき加減で頷き、この日は解散となりました。実は、次回はシャコ釣りにお誘いしようかと思っていたのですが、本気で嫌われそうなのでやめておきます。

無心で貪り甲羅酒で昇天!

さてこのカニですが、当然、彼女が持ち帰るワケもなく、我が家で塩茹で&鍋に調理して晩酌です。

ヒラツメガニの塩茹で&鍋
ヒラツメガニの塩茹で&鍋 (C)週刊実話Web

前述のようにワタリガニ科に属するだけあって味は抜群。飽きのこない上品な甘味は、いくらでも食べられます。さらにメスの腹には内子も入っており、これまたコクがあって酒が進むことといったら…。無心でひたすら食い尽くし、締めは極上なる甲羅酒で昇天。至高の晩酌となったのでありました。

ということで皆様、今年も1年間ありがとうございました。そして、来年も引き続きよろしくお願いいたします。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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