韓国・尹錫悦政権が「国防省戦略司令部」創設へ!北朝鮮に対抗する新たな制圧手段
韓国の尹錫悦大統領の支持率が初めて30%台に下落し、支持が不支持を下回る「デッドクロス」が表出した。
2017年に81%という高支持率で政権を握った文在寅前大統領とは、大きく異なる不人気ぶりだ。
現在、尹政権は深刻な通貨危機に陥っており、これが不支持の大きな原因であることは言うまでもない。そのため、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化に意欲を見せることで、日韓通貨スワップの再締結に望みを託している。
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尹氏は今年3月の大統領選の最中、北朝鮮のミサイル能力について「迎撃は事実上不可能で、先制打撃でしか防げない」と述べ、先制打撃能力の必要性を国民に訴えた。対北融和を最優先に掲げた文政権とは180度異なる大転換だ。
金大中大統領から始まった約10年間にわたる〝太陽政策〟で、韓国は北朝鮮に対して、推し量ることができないほどの経済的支援を行った。しかし、その結果は皮肉にも核とミサイルの完成で終わった。
「韓国の安全保障に対する考え方は、文氏の打ち立てた左翼型『従北による平和プロセス』から、尹氏の日米韓協力による保守型『力による平和』に一変しました」(外交関係者)
7月6日、韓国国防省は立ち位置をより鮮明にした。北朝鮮の核・ミサイル攻撃に対応するため、北朝鮮への先制打撃やミサイル防衛を統括する「戦略司令部」を創設すると発表したのだ。韓国メディアによると、来年までに詳しい計画を策定し、2024年の創設を目指すという。
北朝鮮の脅威に対抗する新しい制圧手段
現在、韓国軍による対北朝鮮防衛の骨子は、次の3項目である。①北朝鮮のミサイル攻撃を察知して先制打撃を加える「キル・チェーン」 ②発射されたミサイルを迎撃する「韓国型ミサイル防衛」 ③攻撃を受けた場合に、北朝鮮指導部などに対する大規模な報復攻撃を行う「大量反撃報復」これは「3軸体系」と呼ばれる韓国独自の防衛体制だが、今後は3軸を構成する各軍を戦略司令部が統括し、北朝鮮に対する抑止力と即応能力を抜本的に強化していくことになる。
「6月29日から8月4日まで、米海軍主催の多国間海上訓練『環太平洋合同演習(リムパック)』がハワイ沖などで行われています。米空母打撃群の補完のため、日本の海上自衛隊は軽空母型護衛艦『いずも』、韓国海軍は強襲揚陸艦『馬羅島』などの艦艇を派遣する見込みです」(軍事ライター)
北朝鮮が開発した新型の対艦ミサイルや極超音速ミサイルなどは、米韓連合海軍の海上接近を防ぐ一種の「A2AD(接近阻止・領域内侵入拒否)戦略」と言える。こうした脅威を突破するためには、ステルス戦闘機や無人水上艦など新しい制圧手段が必要となってくる。
7月5日、韓国国防省と在韓米軍は、米アラスカ州のアイルソン空軍基地に所属するステルス多用途戦闘機「F35A」6機が飛来し、韓国上空と周辺海域で、韓国空軍と10日間の共同訓練を行うと発表した。
「F35A」は朝鮮半島有事の際、北朝鮮の核施設や平壌の中枢部を攻撃する役割を担うとされ、金正恩総書記に最大限の恐怖を抱かせるものだ。韓国空軍も計40機を保有しており、一部は今回の訓練に参加する。
日韓の対立は北朝鮮を利するだけ…
「F35A」の韓国への展開が公表されるのは、17年12月上旬に行われた合同訓練以来、約4年7カ月ぶりのこと。当時は北朝鮮が6回目の核実験を実施した後、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を繰り返していた時期で、現在の状況と酷似している。「米国防総省は2045年までに、有人・無人水上艦が混在した500余隻のハイブリッド艦隊を編成する計画を立てています。いわゆる『幽霊艦隊』の創設で、米中間の仮想戦争を扱った小説にちなんで名付けられたものです」(軍事ジャーナリスト)
この艦隊の概念は、敵のレーダーに探知されにくい幽霊のような無人艦が先頭で情報を収集し、防御網に穴を開け、後方の有人駆逐艦が攻撃を仕掛けるというものだ。
「米海軍はリムパックに先立ち、韓国メディアに『シーホーク』と『シーハンター』と名付けた双子の無人水上艦を初公開しました。この2隻を含む計4隻が建造され、まだ3隻が研究開発中ですが、これらは幽霊艦隊の核心戦力です」(同・ジャーナリスト)
朝鮮半島における米戦略資産の展開を〝カード〟として出した尹政権は、今後、北朝鮮に対する有形無形の圧力を一段と強めるだろう。米軍は、日本にも相応の協力を依頼するとみられるが、それには尹氏が親日でなければ話が前に進まない。
「日本の米軍基地は、朝鮮半島有事の際には後方支援基地となります。東京の横田基地に掲げられている国連旗は、日本に朝鮮戦争の国連軍後方司令部が存在することの証しでもある。日韓の対立で協力関係が維持できない状況は、北朝鮮を利するだけです」(前出の外交関係者)
過去、韓国は日本の経済協力や支援に対し、恩をあだで返してきた。北朝鮮の脅威を前に、妥協するのはどちらだろうか。
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