とんだ流れ弾である。
去る7月3日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。
ウクライナと、その国内アスリートへの支援金を750万ドル(約10億円)に増額した旨が伝えられたが、会談の中身はそれだけではなかったようだ。
「オリンピックの開催地の件も意見交換されました。IOC側から漏れ伝わってきた話ですが、2030年と34年の冬季五輪、32年の夏季五輪の開催地のことでも意見交換があったようです」(スポーツ協会担当記者)
30年冬季五輪といえば、札幌市が誘致活動を続けてきた。アメリカのソルトレークシティも立候補していたが、「28年ロサンゼルス夏季五輪からたった2年」ということで、34年大会に目標を変更するという。最大のライバルがリタイアしそうなため、海外メディアは「札幌優勢」と見ているが、そうはならないようだ。
「昨年9月、ウクライナも30年冬季五輪招致を発表しています。ロシアのミサイル攻撃で、今はそれどころではありませんが…」(同)
“ぼったくり男爵”が選ぶのは…
しかし、バッハ会長の考え方は違う。ロシアが侵攻を止めた場合、世界中がウクライナの復興に協力する。その復興に30年冬季五輪を重ねれば「平和の祭典として大成功を収める」とみているのだ。
「32年夏季五輪、34年冬季大会をウクライナでと予想する声もあります。ロシアの侵攻が止まり、平和協定も結ばれた場合、『30年冬季大会をウクライナで』の声は世界中に広まっていくでしょう」(関係者)
バッハ会長は、ゼレンスキー大統領との会談から2日後、共同インタビューに臨み、札幌の招致活動を称賛していた。札幌とウクライナ、IOCの本命はどちらなのか?
バッハ会長は「ぼったくり男爵」とも呼ばれている。栄誉欲が強く、ウクライナ五輪が実現すれば、平和復興の象徴とされる。今は札幌、ウクライナのどちらに転んでもいいように保険をかけているのか?
札幌市民は五輪招致に意欲的ではないという。「好きにすれば」の心境だろう。
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