銃撃前日の7月7日に兵庫県j西宮市で演説を行った際の安倍晋三元首相(C)週刊実話WEB
銃撃前日の7月7日に兵庫県j西宮市で演説を行った際の安倍晋三元首相(C)週刊実話WEB

『安倍元首相暗殺犯』の意外な人物像と“ナンバー2”不在の安倍派に分裂の危機!?

安倍晋三元首相暗殺に世界中が震撼した。狙撃犯の正体は――。


しかし、現場で警察が犯人を取り押さえると、その姿は40歳そこそこの、ややひ弱な感じの中年男だった。


【関連】安倍元首相暗殺事件で注目「特定の宗教団体」にハマった有名人たちの“驚きの行動”ほか

「銃撃後、男は警備の警察官にタックルされ何の抵抗もなく簡単に取り押さえられた。しかも、逮捕後も落ち着いた様子で淡々と質問に答えている。とても日本国史上最大級の暗殺事件を引き起こした犯人には見えなかった」(元公安関係者)


事件が起きたのは、参院選大詰めの7月8日午前11時半ごろ、遊説先の奈良市・近鉄大和西大寺駅前ロータリー付近だった。


「安倍元首相は自民党公認で安倍派現職の佐藤啓候補の応援のため、奈良入りした。佐藤候補は総務官僚出身で将来を嘱望される若手ホープの1人。安倍元首相は参院選で自民党最大派閥の安倍派(94人)の勢力をさらに拡大させ、これから10年先までキングメーカーに君臨する野心があった。その意味では日本維新の会、立憲民主党の猛追を受けている奈良は絶対に落とせない重要選挙区。そのため前日の7日に急きょ、安倍元首相の街頭演説が決まった」(自民党関係者)


犯行当日、1時間半前から現場で待ち伏せしていたのが殺人未遂容疑(その後、殺人容疑に切り替え)で奈良県警に現行犯逮捕された元海上自衛官の無職・山上徹也容疑者(41)だった。


「長さ約40センチの手製改造銃で背後5メートルの至近距離から演説中の安倍氏を狙撃、2発が首から心臓に達し心肺停止状態になった。病院に救急搬送され懸命の治療を受けたが、それもむなしく同日午後5時すぎ息を引き取った。父親の晋太郎氏と同じ67歳で亡くなった」(夕刊紙記者)

2002年に破産…歯車が狂う

山上容疑者はどんな人物なのか。

「奈良市で生まれ育ち、県内屈指の名門進学高校に入学した秀才だった。しかし、家庭の事情で大学進学を諦め、専門学校へ進んだ。後に海上自衛隊の任期制自衛官として採用されている。広島・呉基地の部隊で3年間勤務し、2005年に退職した。この間、銃の取り扱いや、分解・組み立ての訓練を受けていたとみられている」(捜査関係者)


退官後、宅地建物取引士などの資格も取得。ここ直近の今年5月までは、派遣社員として京都府内の会社の倉庫で荷物を運ぶ仕事に就いていた。


「山上は3人兄弟で兄、妹の真ん中。山上の幼少時、建設業を営んでいた父親が突然亡くなり、母親が祖父の家に身を寄せ苦労して子供を育てたようだ。山上家は周囲の助けもあり、何とかやっていた。山上の供述では、祖父が亡くなると母親が宗教にのめり込み、次から次へとお金を注ぎ、2002年に破産、大きく歯車が狂ったようだ」(同)


山上容疑者は母親がのめり込んだ宗教団体の旧・統一教会(世界平和統一家庭連合)が家族を滅茶苦茶にしたとして、深い恨みを抱くようになったという。


「当初は宗教団体幹部を狙撃する計画を立てたようだが、その機会がなかった。そんな折、安倍氏が統一教会と親しく、団体が国内で流布するのに一役買っていたと一方的に思い込み、今度は安倍氏に狙いを定め、今回の銃撃に至ったと供述している」(同)


安倍元首相が凶弾に倒れたことで10日の参院選は自民党が圧勝した。改選55議席の自民は63議席を獲得、単独でも改選125議席の過半数を超えた。参議院における改憲勢力4党(自民、公明、維新、国民)は非改選を合わせて179議席に達し、国会発議に必要な3分の2を上回った。


「まさに安倍元首相が自民党を大勝に導いた。しかも、自分の政治信念だった憲法改正を自らの命と引き換えにしたといっても過言ではない」(永田町関係者)

菅前首相が安倍派乗っ取る!?

皮肉なことに、今後の政権運営に大きな影響を及ぼすのが、安倍元首相が率いた派閥だ。最大派閥の安倍派領袖に誰が就任するのかをめぐり、分裂危機がささやかれているのだ。

「安倍さんの存在感があまりに大きすぎたため、安倍派には『ナンバー2がいない』と言われ続けてきた。下村博文前政調会長、萩生田光一経済産業相、西村康稔前経済再生相、松野博一官房長官、世耕弘成参院幹事長、福田達夫総務会長などの名前が取り沙汰されているが、誰も帯に短し襷に長し…。派閥内で権力闘争が始まる気配が濃厚なうえ、四分五裂状態に陥った安倍派を草刈り場として狙うのが新派閥立ち上げを準備している菅義偉前首相と見られている。あわよくば、安倍政権時代の官房長官を盾に安倍派を乗っ取るかもしれない」(自民党幹部)


翻って、安倍派存続の危機に乗じ、史上最強の首相に生まれ変わる可能性を孕んでいるのが〝タナボタ総理〟などと揶揄されてきた岸田文雄首相だ。


「今回の大勝で何もスキャンダルがなければ、最低でも2年間政権は安定する。8月にも内閣改造・党役員人事をチラつかせ安倍派や菅前首相などに揺さぶりをかけていく。首相の自民党総裁任期は、衆院議員が任期満了を迎える前年の2024年9月。総裁選前に衆院解散に踏み切り、衆院選勝利で総裁再選につなげる戦略も岸田首相は描いているはずだ。そのために今以上の力やパフォーマンスが必要になってくる。まさに超長期政権です。安倍元首相同様に権力への野心が芽生えてきても何ら不思議ではない」(政治担当記者)


安倍派弱体化で新たな暗闘劇が勃発しそうだ。