原田龍二インタビュー〜“約束を守る男”の真骨頂!20年越しの作家デビュー
昨年、本誌で『原田龍二の不思議な世界』を連載していた原田龍二。
連載でも語られた南米の先住民族・ヤノマミ族との交流譚が、『精霊たちのブルース』というタイトルで上梓された。実は20年前に一度書き上げていた本作、彼にとっては約束を形にしたのである。
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――原田さんは本誌の連載で語っていましたが、ヤノマミ族の首長から別れ際に「君の国で、自分たちの存在を広めてほしい」と託されたそうですね。『精霊たちのブルース』の発売で、願いをかなえました。
「僕は約束を守ることを、モットーとしていますから。実現させたことを彼は知らないと思いますが、僕の中で1つの荷物がやっと下ろせたな、という感覚です。いやぁ、重かった(笑)。20年間ずっと、背負い続けていましたから」
――実はこの物語、20年前に執筆されていたのだとか。
「そうなんです。ただ、そのときは発売の予定がなくなってしまい、そのまま温めていました。時を経て令和になり、何十万人も登録者がいる『街録ch』というYouTubeでインタビューされた際に、〝こんな本を書いたのですが、どなたか出版してくださいませんか〟と視聴者に投げかけたんです。先方がご厚意でそのコメントを生かして配信してくださったところ、たまたま出版社の方がその動画を見て、実現したという運びです。ただ、20年も経つと僕の表現力もずいぶん変わっているので、読んでくれる方の中でちゃんと情景が浮かぶような言葉に、きっちりブラッシュアップしています」
子どもでも読めるものにしたかった
――小説という形も意外でした。書くのなら自伝かな、と予想していたので。「カテゴライズすると小説かもしれませんが、僕の中では約束という名の書物というか。思い出を綴ったものであり、体験記みたいな感じですね」
――主人公のナオキは大学生。フランク教授とともに、ヤノマミ族の元へと向かいます。なぜ、このような設定に?
「ジャングルに行くにはどうしたらいいかを考えた結果、フィールドワーク(実地調査)が最適でした。あと主人公の年齢を若くしたら、フレッシュな目線で書けるのでは、と。僕としては、子どもでも読めるものにしたかったので」
――本編では、実際に体験した人にしか書けない描写が、ふんだんに出てきます。
「だから書きたかったんですよね。逆に言えばいくら詳しくても、ジャングルに行ったことがないのなら書いてはいけないだろうな、と思ったし。ジャングルに行った人間が書いた文章で、現地に行った気分になってほしいんです。恐ろしくもあるけど豊かだし、人間を生かしてくれる精霊たちが住んでいる場所なんだ、と知ってもらいたくて」
――20年前に一度書き上げた作品を推敲する上で、一番こだわったところは?
「匂いや情景の表現ですね。例えば鳥が飛んでいる場面で、どんな色の空を飛んでいるか書くだけじゃつまらない。ただ、そこばかり掘り下げても、本末転倒になってしまう。そしてヤノマミ族に関しては、僕が体験したことを忠実に表現しています。今は〝ヤノマミ族〟とスマホに打てば、簡単に調べられる時代。でも、この本には、僕の実体験しか書かれていません」
――一方でフランク教授は、とてもチャーミングに描かれていますね。モデルはいるのでしょうか?
「いないのですが、〝かわいい人だな〟と思われるような人物にしました。ハーバード大学卒の好奇心旺盛な人という設定なので、彼ならいろんなことを超越できるんじゃないかなと」
“頼むから取り憑いてください”
――この本を、どんな人に読んでもらいたいですか?「いろんな人に読んでほしいですが、特に子どもに読んでもらえたらうれしいかな。少年少女が読んでも大丈夫なようにセクシャルな表現をしていませんし、こんな世界があることを知ってもらえたら、と思います」
――さて、約半年ぶりの『週刊実話』登場となる原田さん。最近体験した不思議な話はありますか?
「実は、憑依体質になりました。今までは〝霊が出てくるなら出てこい〟という心持ちでしたが、〝頼むから取り憑いてください〟と自分の中でハードルを下げたんです。結果、霊障のようなことがありました」
――どんなことが…?
「神奈川の観音崎公園エリアに、復元された灯台のようなものがあります。その周辺にあったといわれている処刑場は、罪人の首をはねるときに、本人の断末魔と家族の悲鳴が対岸まで届いたなど、凄惨な逸話が残っている場所です。われわれがそこに向かったのですが、周辺の松林には〝なぜここに?〟と思うようなところにベンチがあります。すると、同行した霊能力者に〝ベンチに霊が座っています。原田さんが一人で座って、検証してみましょう〟と言われ、一人で座ってみると、急に右肩甲骨の下あたりが痛み出したのです。体調に変化があっても霊障とは見なさない僕は、気のせいだと思っていました。ところが、痛みはどんどん強くなり、体を真っすぐに起こせなくなって。結局、耐えられず、霊能力者の方に除霊してもらいました。そこから足早に遠ざかると、痛みはだんだんなくなっていったのです」
――霊障であるという説得力を感じます。
「なぜ、肩甲骨の下が痛くなったのか。当時の処刑は、罪人の首を斬る前に体で試し斬りをしていたそうなのです。背後から袈裟斬りにしたとき、肩甲骨の下から斬られるんですよね。霊能力者の方の見解ですが、至極納得できるものでした」
――ちなみに、「取り憑いてください」とまでハードルを下げようと思った経緯は?
――そんな原田さんは本業の役者でもご活躍ですが、本誌読者にはコワモテな役を演じているイメージが強いようです。一方でバラエティーに出演しているときは、躊躇なく笑いを取りにいっているように見えます。
「どうせやるなら、失笑を取るよりも〝あの人、ヤバいな〟と思われるくらいの方がいい。その仕事をした甲斐があると思うんです」
――話題にもなりますし。
「何の計算もないんですけどね。〝こういうことをしたら、面白いんじゃないかな〟とは考えていないんです。それをやったとしてもウケるとは限らないし、僕はお笑い芸人ではないので。ただ、空気は読みたいな、とは思っています」
――ジャンルを問わず、幅広くお仕事を受けている理由は何ですか?
「オファーをいただくからです」
――芸能界では、自分で売り方を考える人も多いですよね。
「いやぁ…僕の場合はいまさら遅いんじゃないですかね(笑)。われわれは確かに自分というブランドを持っていますが、僕は〝ノーブランド〟というブランドなのかもしれません。できないことはできないし、できることは精いっぱいやる。シンプルに、それだけなんです」
――ライフワークでもあるオカルト活動は、お仕事に影響を与えていますか?
「いい影響があります。例えば今みたいに、メディアで話す機会を与えていただいたり。先日は、北海道のオカルトライブに呼ばれました。しかも、僕以外の出演者は怪談師(笑)。僕はお世話になっている〝降魔師〟の阿部吉宏さんと一緒に出て、過去の体験談をお客様に聞いていただきました。これもYouTubeでオカルト活動をしていなかったら、呼ばれていませんから」
――そして今、原田さんがやってみたいことは?
「時代劇にもっと出演したいとは、以前から言っていますが…あとは霊能力を身につけたいかな。ただ、もしその力を持っても、人には言いません。言っちゃうと、信憑性が薄まる気がするので。〝この人の守護霊はこういう霊か〟と、密かに感じたいですね」
(取材・文●篠崎美緒 撮影●宮本賢一 構成●SUPER MIX)
はらだ・りゅうじ 1970年生まれ。ドラマやバラエティー番組で活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られる。現在、『バラいろダンディ』(TOKYO MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。
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