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『タカハヤ』福岡県北九州市/菅生の滝産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

北九州は戸畑の岸壁で、夜のチョイ釣りを楽しんだ前回。アタリも多く、海風に吹かれながらの半夜釣りは夕涼みがてらに、とても心地のよいものでした。

そして翌日。朝から晴れ渡り、なかなかの暑さです。こんな時は、どこぞの山中の渓で涼しい釣りをするのもまた一興。早速、福岡県在住の後輩に連絡を取り、どこか手軽に渓流釣りを楽しめる場所はないものか尋ねてみると、「そんなら〝菅生の滝〟のよかですよ」とのこと。特に夕方から夜にかけてがゴールデンタイムとのことでしたが、夜は別の予定があるので、昼すぎに出発することにしました。

小倉市内を抜けてしばらく走ると、のどかな里山の風景が広がってまいりました。紫川に沿った道は結構な上りで、山に向かっていることを感じさせられます。道すがら、並行する紫川を見ると面白そうなポイントも見受けられ、つい竿を出してみたくもなりますが、グッとこらえて菅生の滝を目指します。しばらく走ると完全な山道となり、車1台分の道幅に、「対向車来ないで〜」と念じつつ、ほどなく広い駐車場に到着。

着底と同時にアタリが

車を降りると夏の山の匂いが気持ちよく、これからの釣りに胸を躍らせながら、滝に向かう林道に歩を進めます。うっそうとした森の中を流れる川のせせらぎは、所々に落ち込みや淵があり、いかにも魚がいそうな雰囲気です。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「これは釣れたも同然♪」と川を見ながら進むと、林道に佇む数体のお地蔵さんが目に入りました。つい、川に夢中で全く気が付きませんでしたが、周りを見渡すと数えきれないほどのお地蔵さんが…。さらに進むと、道の脇にたくさんの水子地蔵や大仏様、赤く塗られた仏様など、これでもかというほどに多くの石仏が並んでおります。こ、これは今までにない雰囲気の釣り場ですな…。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

石仏が並ぶ林道を上りきると、ごう音とともに眼前には見事な滝が現れました。菅生の滝です。素晴らしいのですが、すぐ脇には荒れ果てた神社、岩肌や山の斜面の至る所に石仏と、なんとも言えぬ雰囲気です。とはいえ、滝から続く流れには「絶対釣れるだろう」という大きな落ち込みがあり、早速、簡単なミャク釣り仕掛けにミミズを付けて仕掛けを入れてみることにします。

タカハヤ
タカハヤ (C)週刊実話Web

グリグリッ! 着底と同時にアタリがあり、軽く竿を煽ると元気な手応えでタカハヤが釣れました。魚影はかなり濃いようで、その後も仕掛けを入れるたびにタカハヤがハリ掛かり。中には15センチほどと、この魚では最大ともいえる良型も掛かり、竿先を絞り込む鋭い手応えには「もしやヤマメでは?」などと無駄にドキドキさせられてしまいます。

常に“何かの視線”が!?

ひとしきり釣って、ミャク釣りにも飽きてきたことから今度は玉ウキを付けてウキ釣りにチェンジ。流れに乗せるとスーッとウキが引き込まれ、ブルブルッと再びタカハヤ。アタリが手元に伝わるミャク釣りも楽しいのですが、視覚でアタリを捉えるウキ釣りもまた楽しいものです。滝の落ち込み、石仏群前の淵など、一通りめぼしいポイントに仕掛けを入れると、待ってましたとばかりにアタリがあります。雑魚のタカハヤとはいえ、それもまた手つかずの自然な川といったところで素朴に楽しい…のですが、どうにも常に〝何かの視線〟を感じるようなこの感覚はなんなのでしょうか。

特に廃神社脇の岩場から大きな淵を狙っている時などは、時折〝田舎のおじいちゃんの家と線香の香り〟が混じったようなどこか懐かしい匂いが漂ってきたり、廃神社の中からバシッ! と大きな音が響いてきたりで「?」というタイミングもありました。もっとも、アタリが多いのでさして気になるものでもないのですが、何とも不思議な雰囲気の中で入れ食いを堪能。あまり釣りすぎても食べきれないので、型のよいものだけをキープして竿を納めることにします。

タカハヤ のフライ
タカハヤ のフライ(C)週刊実話Web

一般的には雑魚の扱いであるタカハヤも、フライにすれば旨い肴になります。揚げたてをつまみ、冷えたビールをグイッ。水の綺麗な山奥の渓で釣れた魚だけに、コイ科にありがちなクセも全くなく美味。

場所を教えてくれた後輩に、釣果報告も兼ねてお礼の連絡をすると「夜はやらんかったとですね」と残念そう。聞けば地元ではかなり有名な心霊スポットとのことで、今になって後輩にハメられたことに気付いたのでありました。でも、素晴らしい滝、マイナスイオン溢れる環境の中で入れ食いと、実によい時間が過ごせたので、これはこれで楽しい釣りでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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