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「日本はいずれ消滅する」イーロン・マスク氏“大予言”人口減少・大量死…恐るべき結末とは

Asier Romero
(画像)Asier Romero/Shutterstock

厚生労働省が6月3日に公表した2021年の人口動態統計によると、出生数は81万1604人で過去最少を記録、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)は1.30で、こちらも6年連続の減少となった。

日本の少子高齢化は、ものすごい勢いで加速している。この傾向は30年前から明らかなので、何を今さらと思う人もいるかもしれないが、このままだと日本には絶望的な未来が待っている。

「婚活」という造語を考案・提唱し、流行させた中央大学文学部の山田昌弘教授は、こう警鐘を鳴らす。

「高齢者を介護する人が、20年後には200万人不足する。もはや新卒の半分が介護しなければならない状態だ。お金持ちは介護してもらえるかもしれないが、そうでない人は無理。今の介護水準を切り下げるか、外国人労働者に頼るかしかないが、貧しくなった日本に来てくれる外国人がどれだけいるのか」

今でさえ「老老介護」が当たり前になっているが、状況はますます悪化し、孤独死も増える一方だ。

米テスラ社のイーロン・マスクCEOは、5月7日に《出生率が死亡率を超えることがない限り、日本はいずれ消滅するだろう》とツイートし、話題となった。

不安定な雇用形態を是正すべき

1947年から49年生まれの団塊世代は700万人いるが、この世代の先頭集団が今年から75歳以上の「後期高齢者」に位置付けられた。すでに起こり始めている人口減少の最大原因は、実はこの世代の〝大量死〟である。

団塊世代の大量死がピークを過ぎた頃、死に場所だった病院の多くが統廃合や病床数の削減を行うため、40万人以上が〝死に場所難民〟になると想定されている。後期高齢者の医療費は自己負担額が原則1割なので、それまでの3割より少なくなり、現役世代の負担はますます大きくなる。

そして、2040年には人口減少により、現役世代1.5人で高齢者1人を支える「超高齢社会」を迎える。

30年前から少子化が始まっていたにもかかわらず、政府の少子化対策はずっと失敗続きだ。これまでの政策は、待機児童解消や男性の育休取得の促進など、夫婦に対する育児環境や労働環境の整備が中心だった。

実は「結婚した女性が出産する子どもの数」は、この50年あまり、それほど減っていない。晩婚、晩産化の影響で不妊に悩む夫婦は増えているものの、かなり極端な言い方をすれば、若者が結婚さえすれば、子どもは生まれ、少子化は減速化するということである。

では、なぜ、若者は結婚しないのか。いや、できないのか。

「少子化最大の原因は、若者の『将来の経済生活への不安』であり、その根底には『子どもに(経済的な面で)つらい思いをさせたくない』という意識がある。未婚女性は、たとえ非正規雇用で収入が少なくても、親と同居していれば相当よい生活が送れる。彼女らが生活水準を落とさないために、結婚相手にそれなりの収入の男性を選ぶのも無理はない」(前出・山田教授)

総務省の調査によると、今や雇用者のうち約4割近くが非正規雇用になっている。そして、非正規雇用者のうち、パート、アルバイトが約7割を占めている。

幼稚園や保育園を増やすことも重要だが、その前にまず、不安定な雇用形態や所得格差を是正することこそが、少子化を食い止める第一歩と考えるべきだ。

票になる高齢者を優先

経済協力開発機構(OECD)の調査によると、各国の子育て支援に対する公的支出(17年)は、日本がGDP(国内総生産)比で1.79%と、OECD平均の2.34%を下回る。フランス(3.6%)と比べると半分の水準だ。

「例えば、ハンガリーの現政権は少子化対策にGDP比5%弱の予算を使っている。教育費は無償で、結婚して住宅購入すれば何百万円か支援される。4人目を産んだら税金は一生タダ。日本で欧州並みの少子化対策をするには、国家予算の4分の1くらい出す必要がある」(前出・山田教授)

日本の政治家が、若者の結婚や子育てに金を出そうとしない理由は簡単だ。票にならないからである。確実に投票してくれる高齢者のための政策を優先させてきた結果が、今の少子化日本である。

少子化の原因に関して山田教授は、「戦後の高度経済成長期にできた〝夫は仕事、妻は家事〟という価値観がまだまだ残っており、少しずつしか変わっていない」と日本社会を斬る。

内閣府「子ども・子育て会議」の元委員でNPO法人「グリーンパパプロジェクト」の代表理事、吉田大樹氏も、夫の働き方に問題があると言う。

「男性の育児休業取得率は1割を超える程度。この4月から改正育児・介護休業法が順次施行されているが、男性の意識を変えるには、『働かせ方改革』から脱却し、労働者が主体的、自発的に休暇取得できる制度にすることだ。あと10年もすれば50代の労働者が定年を迎え、20〜30代の価値観が素直に受け入れられるかもしれないが、果たして10年間も悠長に待つことがまかり通るだろうか」

7月10日には参院選の投開票を控えているが、各党公約を見ても、少子化対策は相も変わらず薄っぺらだ。このまま日本は沈没への道をたどるしかないのか。

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