世紀の一戦をスマートフォンでコソコソと観戦していた民放キー局の編成担当や幹部らの多くが、「もしも、手を出していたら大やけどをするところだった。中継しなくて本当に良かった…」と口々に語っていたという。
6月7日、さいたまスーパーアリーナで行われた世界バンタム級3団体王座統一戦。WBAスーパー&IBF同級王者の井上尚弥がWBC同級王者のノニト・ドネア(フィリピン)にわずか2回、1分24秒でTKO勝ちし、日本人初となる3団体統一王者という快挙を成し遂げた。
もっとも、中継は映像配信サービス『Amazon プライム・ビデオ』のみ。テレビ地上波中継は最後まで実施されなかったのだ。
その中でも土壇場まで中継するかしないかで揉めていたのが〝テレビ界の井上番〟を公言してはばからないフジテレビだったが…。
「デビュー戦をはじめ、最も多く井上の試合を放送してきたフジテレビ内では、ギリギリまで〝中継するべき〟との議論が飛び交っていたんです。中継すれば、世帯視聴率30%超えは確実だからです」(事情通)
試合時間と見合わない放映権料
フジテレビだけではない。テレビ朝日やTBS、日本テレビなども、この〝世紀の一戦〟を生中継するべきかで頭を悩ませていたという。だが、最終的には冒頭のような安堵の声が民放キー局関係者から漏れ伝わってきたわけだ。
「試合がわずか2ラウンド。尺にして264秒しか戦っていなかったからです。試合のあった21時はまさにゴールデン帯。スポンサー料金も一番高いわけです。余った放送時間に同じ試合内容を何度も流しても視聴者は離れてしまう。仮に視聴率30%超えでも、番組冒頭から15分で終わってしまったら意味がないわけですよ」(編成関係者)
そもそも今回、民放キー局すべてが示し合わせたように中継を見送ったわけは、高騰する放映権料だった。
「最低でも10億円。しかも、民放の中でもフジテレビは数千万円レベルの放映権料しか算出していなかったんです。井上は今回のドネア戦でファイトマネー2億1000万円を手にしていますからね」(事情通)
昨今、高騰を続けているスポーツの放映権料。近い将来、テレビからスポーツ中継がなくなるかも…。
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