(画像)OnePixelStudio/Shutterstock
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北朝鮮『金正恩斬首作戦』実行へ!? 核実験強行で本格的に“米韓”が動く

北朝鮮は6月5日、初めて「ソナギ発射」(どしゃぶり発射の意=短時間での多数発射)という戦術で、短距離弾道ミサイル計8発を発射した。


翌6日には米韓両軍が、その「対抗措置」として、同じ数のミサイルを日本海に向けて発射。これは米国のバイデン大統領と韓国の尹錫悦大統領が、北朝鮮に「核実験をやれば、ただではおかない」との警告を発したことを意味する。


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北朝鮮は、昨年1月に策定した「国防発展5カ年計画」に沿って核・ミサイル開発を進めており、これを止めることはない。ただ、その時期については、ウクライナで苦戦を続けるロシアや、米国と強烈に対峙する中国への側面支援をするべき場面と重なるだろう。


「朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』(6月12日付)は、同日に迎えたロシアの独立記念日に当たる祝日『ロシアの日』に合わせて、金正恩総書記がプーチン大統領に祝電を送ったと報じました」(外交関係者)

北朝鮮の中・ロに対する忖度

5月25日、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を含む3発のミサイルを発射したことに対して、国連安全保障理事会(安保理)は翌26日、米国が主導する北朝鮮への制裁強化決議案を採決した。しかし、安保理常任理事国の中国とロシアは、制裁の強化ではなく緩和を訴えて拒否権を行使し、本決議案は否決されている。

「今回の祝電は、その返礼とプーチン氏への激励の意味がある。北朝鮮が最初の核実験を行った2006年以降、安保理は対北朝鮮制裁決議案を過去10回にわたり採択しており、今回の否決は異例です」(同)


中国とロシアにとって喫緊の課題は、ウクライナ侵略の長期化に伴うプーチン政権の弱体化と、ロシアの国力低下を防ぐことだ。


「中ロは一刻も早く、ウクライナ軍を支えている米国やNATO(北大西洋条約機構)の軍事支援に、歯止めをかける必要があると考えている。そこで、第三者の北朝鮮に日米を揺さぶらせたいのです」(北朝鮮ウオッチャー)


北朝鮮から見た中ロは、経済の悪化、食糧不足、新型コロナウイルス感染症のまん延などで苦境にある中、国際社会からの制裁強化を防いでくれる重要な国だ。また、苦境を脱するための支援も受けているので、中ロの意向を無視することは極めて難しい。


「中ロが北朝鮮に対して、米国を軍事的にけん制する挑発行為を働きかけた場合、これを拒否することはできません。核弾頭の小型化や多弾頭化を狙った7回目の核実験は、すでに実施できる状態なので、中ロが何らかの圧力や脅威を受けた場合、正恩氏はその意向に忖度するでしょう」(同)


北朝鮮の核・ミサイル開発の暴走を止められない以上、これを阻止する最も効果的な手段は、かねてから浮上している正恩氏の「斬首作戦」になる。


「北朝鮮が米国の警告を無視して核実験を強行した場合、その時点で米軍の戦略兵器群が朝鮮半島に緊急展開されるでしょう。米空軍のホームページには、韓国軍の『MC-130K』輸送機と米軍の『MC-130』輸送機が滑走路に並んでいる写真が公開されていますが、両機は熱追跡ミサイル回避機能のある赤外線地形回避レーダー、衛星位置確認システム(GPS)などを搭載し、悪天候の中でも高度75メートル以下の低空で飛行できる。おそらく特殊作戦の際には、斬首部隊がこれに乗り込みます」(軍事ジャーナリスト)

国民の食糧よりもミサイル

言うまでもなく「斬首作戦」は全面戦争を回避し、核・ミサイルを除去する手段の1つであるため、早くから韓国軍と在韓米軍は作戦遂行のための訓練を繰り返してきた。

「韓国の特殊任務旅団は2017年に、核施設を掌握する任務を遂行するため創設され、米海軍の『ネイビーシールズ・チーム6』をモデルとしています。同部隊は要人暗殺や敵施設への破壊工作などが専門で、11年にパキスタンの首都イスラマバード郊外で、オサマ・ビンラディンの隠れ場を奇襲し、殺害したことで世界に名をはせました」(同)


今年に入って北朝鮮は17回、総計33発余りの弾道ミサイルを発射しており、そのために投じた費用は総額4億〜6.5億ドル(約540億〜870億円)に達する。これは北朝鮮の全国民2500万人に、ファイザー製のワクチンを接種可能な金額で、食糧であれば今年の不足分のほぼすべてを購入することができる。


核・ミサイル開発に血道を上げる正恩氏だが、コロナ禍や飢饉にあえぐ国民には、「薬の代わりに草や木の葉を煎じて飲め」「思想強化で空腹を我慢しろ」などと、相変わらず支離滅裂な言動が目立っている。


11年12月に政権を掌握して以来、暴走を続けながらも絶対権力を維持してきた正恩氏。しかし、その動静を逐一追跡され、居場所が確認されていることを分かっているのだろうか――。