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蝶野正洋『黒の履歴書』~プロレスリングNOAH参戦の舞台裏

蝶野正洋『黒の履歴書』
蝶野正洋『黒の履歴書』 (C)週刊実話Web

プロレスリングNOAHに、杉浦貴選手が率いる「杉浦軍」の最高顧問として出場させてもらった。

キッカケはちょっと複雑なんだが、まず、今のNOAHのチャンピオンの潮崎豪選手が「アイアムノア」という言葉を発している。自分がノアを背負っていくという意味なんだろうけど、それに対抗している杉浦君たちが何かを言おうと思って、なぜか「アイアムチョーノ!」とガッデムポーズを決めた。

勝手に名前を出されてビックリしたんだが、俺の名前を出したのなら、一言いっておかないといけない。勝手に人の名前を使うなとクギを刺し、ついでに杉浦軍の最高顧問に就任することにした。

そして、杉浦君と桜庭和志選手のGHCヘビー級タッグ王者、「エムズアライアンス」の丸藤正道選手と船木誠勝選手の挑戦者が、11月22日の横浜武道館大会のセミファイナルで試合をするので、俺も杉浦軍の最高顧問として参戦したというわけだ。

杉浦君とは、ほぼ初対面。逆に潮崎君は、三沢光晴さんの付き人をやっていたときから知ってるし、タッグを組んだこともある。だから、俺が杉浦軍に加入したのは不思議な縁というしかない。それに、向こうの「エムズアライアンス」には武藤敬司選手が絡んでいる。俺と武藤さんがNOAHのリングで向かい合っているというのも不思議だ。

そもそもNOAHは、全日本プロレスの流れを組んだ団体。そこに武藤、蝶野という新日本プロレスで育った人間が絡んだら、ファンがよく思わないんじゃないかと心配してたんだよ。でも、そんなのまったくなかったし、むしろ歓迎してくれる声がほとんどだった。

カネの匂いがしたら武藤敬司と手を組むかも…

新日本プロレスのGⅠクライマックスを解説したときも思ったけど、現在のプロレス界は選手もファンも入り乱れてハイブリッドになっている。俺らの世代がこだわってきた団体の枠組みとか、生え抜きがどうかなんてことは、もはや誰も気にしていない。

試合後、解説席にいた松井珠理奈さんをリングに上げたら、俺はビンタを喰らった。プロレスファンの中では賛否両論出てるみたいだけど、批判する人は分かってないな。あれは愛情の裏返しなんだよ。

仮に悪いやつがいるとすれば、完全に武藤さんだろ。あとで映像を見返したら、武藤さんが松井さんに耳打ちをして指示を出してたからな(笑)。

その武藤さんの試合も見させてもらったけど、ひと昔前と比べたらさすがに動きは落ちているから、若い選手からしてみたら老害でしかない。

ただ、60歳近くであれだけ動けるのは、同じプロレスラーとしてすごいと思う。そういう意味でリスペクトできる部分もたくさんあるから、武藤さんはいい老害になってほしい。

あと、NOAHで俺と武藤敬司は対立してるけど、リングではいつ何が起こるかは分からない。カネの匂いがしたら手を組むかもしれないし、ビジネスが潮時と感じたら撤退、老害レジェンドの鉄則だ。

今回、俺は杉浦軍の最高顧問で登場したが、今後、NOAHマットに関わる予定は一切ない。杉浦軍の盛り上がり次第では、予告なしにリングに上がってるかもしれないぞ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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