開幕後の歴史的低迷を挽回し、6月11日に阪神がついに「最下位」を脱出した。勝因は、セ・パ交流戦を12勝6敗(2位)と勝ち越したこと。そして「打のヒーロー」が交流戦本塁打&打点王の大山悠輔だとすれば、「投の功労者」は藤浪晋太郎だろう。だが、交流戦終了と同時に藤浪の一軍登録が抹消されてしまった。矢野燿大監督の藤浪に対する評価はさほど高くないようだ。
「新型コロナウイルスに感染し、チームを離れていました。5月31日、リリーフで復帰登板を果たしましたが、藤浪の名前がコールされたときがいちばん盛り上がりました」(在阪記者)
交流戦はすべてリリーフ登板し、5試合を投げ無失点。結果も出しているが、このリリーフという役どころがチーム内の微妙な立ち位置を表しているという。
「本当は、藤浪の一軍復帰はもっと早かったんです。ファームで順調に回復し、でも、一軍からは『先発枠が埋まっているから』と昇格を見送られ…。二軍首脳陣の強い推薦というか、熱意に根負けし、昇格がやっと決まりました」(関係者)
一軍合流も埋められない距離感…
一軍の練習に合流したのは、復帰登板と同じ5月31日。矢野監督は中継ぎでの起用を明言し、「チームのピースとしてはまってくれたら」とも語っていたが、こんな情報も聞かれた。
「中継ぎでの起用は、昇格と同時に二軍首脳陣が伝えたようです。一軍合流後も福原忍投手コーチが話をした、と」(同)
藤浪は昨年オフの契約更改で先発への強いこだわりを口にしていた。それを捨てて、一軍昇格を選択した。采配の権限は、指揮官にある。しかし、〝ひと言〟があってもいいのでは?
両者の距離を感じさせるような言動は、ほかにもある。「6点差」をひっくり返して逆転勝ちした3日の日本ハム戦後、矢野監督はいつものように共同インタビューに応じた。3回7得点と勢いづく日本ハム打線を止めた藤浪のことを聞かれると、「流れを止めてくれた」と褒めたものの、「ほかの投手も…」と、話題を変えてしまった。
この〝距離感〟を埋めなければ、中盤戦以降の追撃は難しくなる。
「阪神は元オリックスのA・ロドリゲスを緊急補強しました。一発の脅威こそあれど、縦の変化球が苦手。守備難なのも気になります」(前出・記者)
失策に泣かされる試合も増えてきそうだ。このままだと、矢野監督は藤浪に背を向けたまま退団することになりそうだ。
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