北の女帝・金正与の“お掃除ロボット”と化した韓国の文在寅大統領

文大統領の北朝鮮への従属ぶりは、とにかく常軌を逸している。10月に起きた北朝鮮による韓国海洋水産部に所属する公務員の射殺事件では、当初、韓国国防部が「北朝鮮軍がわが国の公務員を銃殺し、遺体を焼却するという蛮行を確認した」と発表。これを知った韓国世論は、当然のことながら激怒した。

ところが、北朝鮮が「射殺はしたが焼却はしていない」と反論すると、文大統領はその発言を証明しようと、海洋警察庁の艦艇11隻と航空機3機、海軍の艦艇16隻と航空機4機、漁業指導船8隻を投入したのだ。

「遺体捜索の〝ジェスチャー〟として、海上での大げさな捜索ショーを〝演出〟したのです。結局、北朝鮮軍が焼いてしまったのか、遺体は発見されないままでした」(韓国紙記者)

この事件のあった延坪島沖は、朝鮮戦争終結後の1953年8月に連合国が設定した西海北方限界線(NLL=軍事境界線)に近く、南北の紛争が絶えない。

そこで韓国軍は、公務員射殺事件を機に「西海防御訓練」を実施したのだが、北朝鮮がこれを非難すると、青瓦台(韓国大統領府)は即座に韓国軍幹部らを呼んで叱責したという。

「まだあります。今年6月に北朝鮮の金英哲副委員長が、韓国国防部の鄭景斗長官(防衛相に相当)を『軽薄で愚昧だ』と非難したところ、その2カ月後に更迭されました」(同)

文在寅大統領は金正恩“朝鮮王”の誕生に邁進!?

金副委員長は、2010年3月に発生した「哨戒艦・天安爆沈事件」や同年11月に勃発した「延坪島砲撃事件」などに関与しているとされ、韓国にとって好ましからざる人物。それでも言うことを聞いてしまうとは驚きだ。

極めつけは今年6月、与正氏が北朝鮮へのビラ散布を激しく非難し、韓国政府に「(禁止)法でもつくれ」と要求すると、これを〝下命〟と受け取った韓国統一部は、即座に法案成立に向けて準備に入っている。

そして、与党の「共に民主党」は「憲法で保障されている表現の自由を制限する」「北朝鮮の独裁体制を容認している」などの批判を抑え込み、12月8日、国会常任委員会において「対北ビラ禁止法」を単独採決で可決。違反者は3年以下の懲役か、3000万ウォン(約280万円)以下の罰金を科せられることになる。

「韓国は小さな中国です。中国の習近平国家主席のように、文大統領への批判を許しません。これまで警察は、文大統領が機嫌を損ねた事件について執拗に追及してきました。関係者は例外なく逮捕されたり、起訴されたりして、有罪判決を受けています」(韓国在住の日本人ジャーナリスト)

言うまでもなく法律は、誰に対しても厳正に執行されなければならない。この普通のことが、もはや韓国では通らないのだ。

いや、むしろ文大統領は来るべき金正恩〝朝鮮王〟の誕生に向け、統一朝鮮への地ならしを粛々と行っているのかもしれない。