
コロナ禍の業績不振を乗り切る「大手百貨店」の生き残り戦略〜企業経済深層レポート
業績不振が続く大手百貨店、「そごう・西武」(東京)の売却の動きが、活発化しているという。経営コンサルタントが、その経緯を解説する。
「老舗『そごう』は、バブル崩壊の余波で2000年に一度経営破綻し、電鉄系の『西武』がその支援を引き受けました。しかし、その後も苦しい状況が続き、06年に『そごう・西武』の立て直しに乗り出したのが『セブン&アイ・ホールディングス』(東京)です」
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それから約15年、20年2月期の純損失は75億円、21年172億円、22年2月期も88億円と直近3年間は連続で赤字に。この赤字に海外株主の圧力も加わり、セブン&アイもついに『売却』の腹を決めた格好だ。
「売却先として応札したのが、米投資ファンド『ローン・スター』、『フォートレス・インベストメント・グループ』、シンガポール政府系投資ファンド『GIC』の3社です」(同)
米「ローン・スター」は国内ゴルフ場や目黒雅叙園売買などに関わってきた実績がある。「GIC」は、西武ホールディングスからホテルやスキー場など合わせて約30の施設を数千億円程度で契約するなど、不動産投資を加速させている。
このように、かつて売り上げ日本一を誇った「そごう・西武」の先行きは、甚だ不透明なありさまだ。
一方、他の大手百貨店の現状はどうか。その前に百貨店業界の全体像を一度振り返っておこう。
大手専門店が続々参入…
現在の「三越」が明治時代に国内第1号として誕生して以来、国内百貨店は豊富な品ぞろえ、品質のよさ、利便性などで庶民の間に浸透してきた。特に戦後の高度成長期には、全国に続々と新しい百貨店が誕生した。シンクタンク研究員が言う。「百貨店はバブル期にピークを迎え、91年は全国268店舗で売上高9兆7000億円と、10兆円をうかがうまで急伸しました。しかし、その後のバブル崩壊と不景気により売り上げが激減。日本百貨店協会によれば21年の年間売上高は4兆4182億円とピーク時の半分以下、店舗数も189店(22年1月時点)にまで落ち込んでいます」
百貨店不振の理由は、不景気だけではないようだ。
「衣類や電化製品など、これまで百貨店が扱っていた得意分野に、大手専門店が続々と参入したためです。例えば、家電や家具では『ヤマダ電機』や『ニトリ』などの量販店があります。専門店ならではの戦略的価格と豊富な品ぞろえで、百貨店の客がそちらへ流れたのです」(百貨店関係者)
それでは、大手百貨店に巻き返し策はあるのか。最新決算と現状を見てみよう。
まずは「三越伊勢丹ホールディングス」(東京)。コロナ禍により21年3月期こそ営業利益は209億円の赤字と沈んだが、22年3月決算では総売上高で前期比11.8%増の9121億円と回復傾向にある。その要因は何か。
「売り場を通さず顧客に直接販売する、いわゆる〝外商〟です。元々『三越』と『伊勢丹』には、購入額が年間100万円以上というエムアイカード会員が30万人もいる。この富裕層に猛アプローチをかけ、売り上げを伸ばしたのです」(同)
24年度は、カード会員の外商だけで売上高2300億円を目指すと強気だ。
好決算へのカギは富裕層か
京都発祥で呉服系の「大丸」と名古屋発で創業400年超えの「松坂屋」が属する「J・フロントリテイリング」(東京)も注目だ。「百貨店をやらない」という大胆なキャッチで17年に銀座松坂屋跡地に立ち上げた「GINZA SIX」が、コロナ禍を乗り越え好調なのだ。22年2月期の売上高は前年比13.8%増の8752億円で黒字に。
「好調の鍵は、若者や壮年層向けのラグジュアリー商品です。テナントには『グッチ ウォッチ&ジュエリー』や『ザ・ロウ』など、世界の一流ブランド店が並び、国内の富裕層の心を捉えています」(同)
江戸時代にルーツを持つ老舗「高島屋」(大阪)はどうか。
日本橋店など国内15店舗を運営し、21年はコロナ禍で最終損益が17年ぶりの赤字だったが、22年2月期連結決算では約53億円の黒字に転じた。経営コンサルタントが指摘する。
「23年決算予測は、売上高に当たる営業収益が9.2%増で純利益も100億円確保と読み、市場は好感です。特に23年はEC(電子商取引)に力を入れ、323億円を予測しています」
関西百貨店の雄である「阪急阪神百貨店」も負けていない。22年3月決算では総額売上高が前期比10.7%増の3822億円と伸び、営業損益も前期18億円の赤字から11億円の黒字に転換した。百貨店バイヤーはこう話す。
「『大阪梅田ツインタワーズ・サウス』の開業に伴い、地下2階〜地上9階に位置する『阪神梅田本店』が4月に全面リニューアルしました。圧巻はデパ地下で100メートルからなるスイーツストリートの『洋菓子ワールド』など、日本一のデパ地下と早くも評判です」
今が正念場の百貨店業界。今後、ECの拡大、富裕層への訴求、外国人観光客の復活などで23年は各社好決算となるのか――しばらく目が離せない。
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