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安倍、菅、二階が暗躍!変わる自民党勢力図“参院選後”の陣取り合戦

安倍晋三
安倍晋三 (C)週刊実話Web

自民党では、早くも参院選後の内閣改造などを見越して派閥領袖や大物議員間で露骨な陣取り合戦が活発化していた――。

まずは選挙アナリストが、自民党内の「陣取り合戦」をこう解説する。

「岸田内閣の支持率が高く、参院選も各種世論調査で『自民圧勝』の結果が出ている。岸田一強が日々高まっているのです」

フジテレビ系列の5月調査では岸田内閣の支持率は何と68.9%に達した。また、参院選比例区投票先では5月の日経調査で自民党が50%、2位につけた日本維新の会が8%。決定的なのは、自民党が5月に行った極秘情勢調査の結果だ。それによれば、勝敗を左右する全国で32選挙区ある1人区の24選挙区で自民党候補がリードし、さらに上積みする勢いなのだ。

「比例区得票も2019年参院選の1770万票を上回り、2000万票をうかがう勢いです。自民党の予測議席数は改選議席の54から大きく伸ばし60議席獲得も夢ではない。ここに公明党の改選議席14議席が加われば、与党は目標とする非改選も含めた参院で過半数の125議席を18議席も上回るのです」(同)

次期大臣ポストを望む議員多数…

こうした情勢を受け、自民党内では岸田続投ムード一色。その背景を駆使し猟官運動を仕掛けたのが麻生太郎自民党副総裁だった。

「菅(義偉)前首相を取り込む動きだ。というのも、党内で今最も勢いを増しているのが菅グループ。小泉進次郎前環境相らが着々と準備を進め、80人規模での派閥を参院選前に立ち上げ、安倍晋三元首相と組み岸田包囲網を敷く気配を見せていた。ところが、菅氏は突然、その動きをストップさせ、慎重姿勢に転じた。これは岸田政権を支える麻生副総裁が〝菅抱き込み作戦に出たため〟ともっぱら」(自民党長老)

確かに、麻生副総裁は菅前首相と5月23日と27日に二度も会食しているのだ。

「麻生氏と菅氏は安倍政権をど真ん中で支えた。だが、昨年の総裁選では麻生氏は岸田首相を支持し主流派となった。一方、菅氏は河野太郎前行革担当相を担ぎ、敗れて非主流派に転落した。今年2月には麻生派会長代理の佐藤勉前総務会長ら4人を引き抜かれ麻生氏は激怒、2人の関係は冷えこんだままだった。その2人が二度会食、しかも、27日の会食は麻生家を会場に双方の夫人も加わり『菅首相慰労の会』というから永田町は仰天した」(同)

麻生・菅会食を自民党幹部がこう分析する。

「菅氏が参院選前の派閥立ち上げを断念したのは、参院選前に旗揚げしたら反岸田のレッテルを貼られ、また冷や飯を食わされる恐れが出たからだ。菅グループには当選4回生以上が多く、次期大臣ポストを望む議員がゴロゴロいる。ならば今は岸田首相に従い参院選後に予測される内閣改造でグループの議員を閣僚ポストに押し込むのが得策と考えたのだろう」

つまり、岸田政権内で勢力を拡大し、後に岸田派、麻生派、安倍派と連携する作戦に切り替えたのではと囁かれる。

麻生氏はいつ寝返るか分からない

一方、以前から菅氏取り込みに躍起になっていたのが、安倍元首相だ。

「安倍氏は次の選挙で、自身が不利になる公職選挙法改正の衆院10増10減案をぶち壊したい。同時にアベノミクスを否定する岸田首相の財政再建案も潰したい。岸田首相に安倍脱却路線を思いとどまらせるには党内最大派閥94人の安倍派に加え、80人規模になると予測される菅派を立ち上げさせて味方につける。冷や飯組の二階派42人も取り込めば、数の力を背景に岸田包囲網を築き、参院選後の内閣改造でも安倍派をゴリ押し込む作戦を密かに練っていた」(前出・自民党長老)

ところが、岸田政権の指南役の麻生氏が菅氏取り込みへ先手を打ったわけだ。

「慌てたのが安倍氏だ。そのため安倍氏も昭恵夫人を伴い菅夫妻と都内のフランス料理店で会食(5月31日)を催した上で、菅氏に派閥の早期決起を促した。翌6月1日には、同じく反岸田の二階俊博元幹事長とも都内ホテルで会食、改めて『岸田包囲網』を確認したようだ」(同)

岸田首相、安倍氏、双方の思惑をこう呟く。

「麻生氏は岸田政権維持のため、副総裁職を菅氏か二階氏に譲る腹だ。菅氏らがどう食いつくか腹の探り合い」(岸田側近)

「物価高はこれからが本番で、品目は食品だけで1万品を突破する。その重荷に国民が不満を溜め込むのは必至。コロナ感染再拡大の可能性もある。そうなれば、岸田首相を強気にさせている高支持率など吹き飛ぶ。橋本龍太郎政権の例もある。岸田指南役の麻生氏だって安倍氏の縁戚だ。いつ寝返るかは分からない。ここは安倍氏の顔を立てておくのが、岸田首相にとって最良の策だ」(安倍派幹部)

98年夏の参院選、当時の橋本政権は国民的人気も高く、事前情勢調査で自民党は今の岸田政権同様、70議席近い圧勝が予想された。しかし、財政再建の緊縮財政の影響もあり金融不安が拡大。フタを開けて見れば、自民党は44議席と大敗し、橋本政権は一気に退陣に追い込まれた。

陣取り合戦は予断を許さない。

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