任期満了に伴う6月の日本医師会(日医)会長選は、北海道医師会所属の中川俊男会長が不出馬を表明するという予想外の展開となり、一業界団体の内紛とはいえ、注目を集めた。
中川氏といえば、新型コロナ禍の2020年8月、高級寿司店で、ショートヘアで細身の40代とおぼしき女性とのデートが『週刊新潮』に激写され、世間のひんしゅくを買ったのは記憶に新しい。女性は中川氏お気に入りの、日医総合政策研究機構の研究員だった。
毎週定例の記者会見で、国民に行動制限を呼び掛けておきながら、自身は寿司デートとあっては、日医の評判も地に落ちるというものだが、「人の噂も七十五日」とばかりに、会長選出馬には意欲満々だった。
「中川氏の強権的な組織運営は有名。2年前の前回会長選で横倉義武前会長を破ったものの、風通しは悪く、言いたいことが言えない雰囲気だった」(日医関係者)
前回敗れた横倉氏の陰謀か…
おまけに、医療機関にサービスの対価として支払う22年度診療報酬改定で、日医が長年反対していた、診察を受けなくても処方箋を一定期間繰り返し使えるリフィル処方箋制度の導入を認めてしまったため、「中川降ろし」に火がついた。
会長選は目下、出馬表明した埼玉県医師会所属の松本吉郎氏の当確が有力視されているが、その仕掛け人こそ、福岡県医師会所属の前会長の横倉氏だった。
「松本氏擁立を主導したのは、表向き埼玉県医師会だが、支持拡大の流れを作ったのは、埼玉から遠く離れた九州医師会連合会にほかならない。中川氏に近い幹部が〝これはクーデターだ〟とうなったほど」(同・関係者)
中川氏は、松本氏を副会長として処遇することで話をつけていた。寝首を掻かれた格好の中川氏は「再考の余地はないのか」と促したが、松本氏は「それはない」と突っぱねたと
そして、中川氏は5月23日に東京都内で記者会見を開き、不出馬を表明。記者からの「横倉前会長との遺恨は影響していると思うか」との質問にこう答えた。
「あえてお答えしません」
高級寿司デートの代償は高くついた。
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