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『ルポ 女性用風俗』著者:菅野久美子~話題の1冊☆著者インタビュー

『ルポ 女性用風俗』著者:菅野久美子/ちくま新書

『ルポ 女性用風俗』ちくま新書/924円

菅野久美子
性と死をみつめるノンフィクション作家。1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。著書に『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)『事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)などがある。

――最近、〝女性用風俗〟が大流行しているといいます。どのような店があるのでしょうか?

菅野 ある大手女性用風俗サイトには、3000人を超えるセラピストが登録し、200を超える店舗がひしめき合っています。ジャニーズ顔負けのイケメンとのデートプランが売りの店や、艶系男優などの経歴を売りにした性感寄りの店、はたまた女性が女性にサービスを施すレズ風俗など多種多様な形態があります。

基本的なプレイの流れは、全身の揉みほぐしから入り、際どい部分に手を触れ、性感サービスを行います。

――市場が拡大した背景にはセックスレスや未婚率の上昇などがあるそうですね。

菅野 具体的には3パターンあると思います。まずは、性経験が無かったり少なかったりする女性です。ある30代の女性は、容姿でいじめられた過去を持ち、以来コンプレックスを抱え、処女であることを長年悩んでいました。彼女は風俗を通じて生身の男性と初めて触れたそうです。その経験に「とにかく感動」して、性を身近に感じるようになったと語ってくれました。

「自らの性」と向き合う新時代

2つ目は、彼氏や旦那などパートナーはいるけれど、セックスレスだったり、不満を抱えているケースです。3つ目はホストのような感覚で利用する水商売や風俗の方ですね。

――アラサー女性の約3割が〝処女〟というのは本当ですか?

菅野 異性との性経験のない未婚者の割合は男女ともに90年代前半までは減少傾向でした。しかし、その後は歯止めがかかり、近年上昇に転じています。

背景はいろいろとあると思いますが、現代は高度経済成長期のように職場恋愛や結婚が当たり前の時代ではなくなっています。会社や学校などで、いわゆる自然な出会いが難しくなっていることも要因の1つかもしれません。

――お相手の男性にも変化があるそうですね。

菅野 セラピストは子犬のようなかわいい系から、マッチョ系、逆にテク売りの方まで、多種多様です。年齢層も20代から40代と幅広いのが特徴で「オジピ」と呼ばれる40代以降のセラピストも人気がありますね。

昨今、女性の社会進出が進み、女性たちも経済力を手にしつつあります。令和という時代、女性たちはいよいよ「自らの性」と正面から向き合い、思い思いに舟をこぎ始めました。活況を呈する女性用風俗は、まさにそんな新時代の象徴だと言えるでしょう。

(聞き手/程原ケン)

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