「安くておいしいフルーツはいりませんか?」と言って、粗悪品を売りつける詐欺まがいの商法が、全国各地で問題になっている。
「千葉県や埼玉県、岡山県、長崎県などで被害が続出しており、各地の消費者センターは〝必要がないものは買わないでください〟と、押し売り商法に警鐘を鳴らしています」(国民生活センター関係者)
無許可のフルーツ販売は、特定商取引の期制対象になっているにもかかわらず、2010年代から増加傾向にある。謎の若者が自宅に訪問してきたり、繁華街や駅前で声を掛けてきたり、おおよその販売方法が似ているのも特徴だ。
「駅前でフルーツ売りからリンゴを勧められ、試食してみたらおいしかったので、1箱1万円で購入。自宅で開封すると半分以上が傷んでいた。販売会社の名前や連絡先が分からないので、泣き寝入りするケースがほとんどです」(同)
今年は新型コロナの影響で、職にあぶれる若い男女が増えている。そんな若者たちが、アルバイト情報誌の〝日給1万円〟という広告を見て、フルーツ売りに応募してくるという。
アルバイトの若者も結局は被害者…
「早朝、会社に集合して全員そろったところで朝礼。朝礼では全員で円陣を組み、笑顔でハイタッチ。互いに『今日も頑張って売ろう』と大声を出し合うなど、マルチ商法の会社と酷似しています」(警察関係者)
アルバイトの若者は、業者から安く買い叩いた売れ残りのフルーツを選別し、腐ったものは捨てて、売れそうなものをカゴに入れる。客に売る単価は、その場で会社が決める。リーダーを中心にグループを組み、それぞれのエリアを決めて、現地に着いたら売りまくるのだ。
「日給1万円だと言われたのに出来高払いで、当日の売上に対して数千円が払われるだけ。バイトの若者も被害者ですよ」(マルチ商法に詳しいライター)
このやり方は、若者の労働力を安価で酷使する〝労働マルチ〟に該当する。消費者庁は、特定商取引違反とマルチ商法の疑いで調査。警察は詐欺容疑で、業者の捜査を進めているという。
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galitskaya / PIXTA(ピクスタ)
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